心四十四欠片 ページ9
『さて。今日から屯所で、安静に……か』
翌日。早いもんで、退院許可が出た。医者も、回復力には驚いていた。
でも、勿論仕事に復帰するのは……まだ駄目だと、言われた。少なくとも三日から四日くらいは、安静にして様子を見てくれ……との事。
しばらくは、書類整理くらいしか出来ないな……お風呂も入れないから、お湯で濡らしたタオルで、体を拭かなきゃいけない。誰かに手伝ってもらわないと。
パトカーで、近藤さんと土方さん、そして総悟君が迎えに来てくれたが……あの恰幅の良い看護師さんに、「くれぐれも患者から目を離さないように」と、口酸っぱく忠告されていた。
『お世話に、なりました……ありがとうございました』
「定期健診には来るんだよ!! お大事にね!!」
『はい。ありがとう、ございました』
パトカーに乗り込んで、病院を後にした。
運転は近藤さんで、助手席に土方さん。後部座席に、俺と総悟君。気を遣ってくれていたのか、いつもより……ゆったりとした運転だ。
それにヘビースモーカーの土方さんが、煙草を吸っていない。総悟君も痛いとこありやせんか、なんて声を掛けてくれた。
皆、なんて優しいのだろう。一人欠員となってしまうのが、心苦しいけど……やれる範囲で皆に貢献しよう。
──
─
その夜。ご飯も食べ終わって、体を拭くのも手伝ってもらって、後は寝るだけ……そんな時だった。突然部屋に山崎さんが来て、俺宛に電話が来てる、と言った。
……こんな時間に、何の用だろう。後を追って、固定電話のある所まで来て、受話器を渡される。
『もしもし』
「おーA、怪我は大丈夫か?」
『まぁ……丁度、今日退院した。まだ安静にしてなきゃ、いけないけど』
「結構回復はえーのな、そら良いこった。ところで、今からスナックお登勢に来れねーか?」
怪我人を飲み屋に呼び出そうってのか、この白髪……鬼畜か。
安静にって言われたし、自分の判断だけでは行動できない……近藤さんに、許可を取らないと。少し待っててほしいと伝え、近藤さんの部屋に向かう。
『失礼します……』
「おお、どうしたこんな時間に」
訳を説明し、外出して良いか許可を取る。……断られる、と思いきや、案外あっさり許可を出してくれた。
理由は、彼と面と向かって話してきた方が良いんじゃないか……との事。顛末はメールで知らせたけど、詳しい事は彼しか知らないからって。
近藤さんに頭を下げて、部屋を後にした。
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ななみ(プロフ) - ウマ娘ネタやるならクロスオーバータグがいるんじゃ... (11月20日 12時) (レス) id: b9dbee0f0f (このIDを非表示/違反報告)
ろぽん(プロフ) - 面白いです!作者様のペースで無理のないよう更新頑張ってください!待ってます!! (2020年8月15日 23時) (レス) id: 94c21bcf57 (このIDを非表示/違反報告)
うp主(プロフ) - ひろとさん» レス遅れて申し訳ありません。ありがとうございます!これからもゆっくり頑張りますので、よろしくお願い致します。 (2020年2月7日 15時) (レス) id: f8646b5aca (このIDを非表示/違反報告)
ひろと - 面白いわ (2018年7月19日 21時) (レス) id: 49d8f5487f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うp主@
作成日時:2018年4月21日 6時