忠告 ページ25
…私の目の前には、ぞろぞろと何人もの鬼兵隊隊士が待ち構えていた。私が降りてきた階段の周囲を囲むように。私の姿を捕らえると、少しだけ驚いたように目を丸くさせて狼狽えて。けれどそれは一瞬だけで、すぐに刀を鞘から一気に引き抜いては迷わず私に向けた。上には、私の部屋には武市はともかくまた子が居たし、万斎だって居た。だから、私が部屋から脱出して降りてくるとは思わなかったのかもしれない。照明に照らされた刀がギラリと光っていて、それは人工的な光だからか酷く暴力的に見えた。例えば月光なんかよりもずっとリアリティがあるような気がする。そんな光景を見て、私は苦笑いのような薄い笑みを浮かべた。あまりよろしい光景ではない。
…まぁ、ここに敵が待ち構えているのは当然だ。出口へと近付いているのだから。連中は私を逃がしたくはないのだから。警戒して警備を強めない訳がない。
隊士のうちの一人が一歩前に足を踏み出しながらに、冷静に口を開く。紅の舞姫を目の前にして。しかも刀をバッチリ手に持っている私を目の当たりにして、そこまで冷静で居られるのだから、流石は鬼兵隊、といったところか。称賛に値する。
「…紅の舞姫殿。最後にここで忠告しておこう。この先に足を踏み出すべきではない」
「私もここでひとつ忠告しておくよ、そこを退かないと、アンタら全員無事じゃ済まないよ」
不敵に笑みを浮かべて、刀の背を肩に当ててそう私が言うと、連中は覚悟を決めたような表情を見せて。全員私を睨みつけるような視線を向ける。そんな視線に構うことなく、私はゆっくりと階段を降りきって、歩を進めていく。男は「止まれ」と私に言うけれど、聞こえなかった風に足を進め続ける。男から二メートル程離れたところで一度立ち止まり、連中を見回すように視線を向ける。
「退かないって言うなら、容赦しないよ?」
「それはこちらの台詞だ」
…どうやら、引いてくれるつもりはないようだ。内心で溜め息を漏らして、「いいよ」と続ける。
「何処からでも掛かってきなさいよ」
その声を合図にするように、手始めに数人の刀が私めがけて向かってきて、私は息を止めて足を踏み込んで、相手の剣が到達しないうちに思いきり刀を振りきった。
途端、三人分の赤い液体が周囲に飛び散った。
「退いて貰うよ、そこは、私が通る道なんでね」
…自分の道を切り開くため、私は剣を振るう。
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ちあき(プロフ) - 感動する(TT) (2018年5月11日 19時) (レス) id: 3135ea492c (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 獅子の子さん» 返信遅れてごめんよ!!そう、なんとも複雑なトライアングルが出来上がったよ(笑)続篇も出すからそっちでもお楽しみにあれ!! (2018年5月9日 19時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 零さん» 返信遅れてごめんなさい!!土方さんがやっと夢主ちゃんに会うことが出来ました!!小競り合いをする二人を書くのが久しぶりだったので楽しかったです!!続編も出ますので、そちらでもまたよろしくして頂けたら嬉しいです!!ありがとうございます!! (2018年5月9日 19時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
獅子の子(プロフ) - んふ、元彼と今彼のご対面ですね、、、! いやはや、楽しみでしょうが無いです。 (2018年5月2日 22時) (レス) id: 8b211097c0 (このIDを非表示/違反報告)
零 - 土方さんキター---!!!いつもの二人が帰ってきた!!23点って確かに容赦ない(笑)でもそれでこそこの二人だ!と思いました。更新が楽しみすぎて毎日スタンバッてます!! (2018年5月1日 20時) (レス) id: a16b684fd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2018年4月11日 18時