a junior high school student 09 ページ9
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『じゃあ、またね!』
「う、うん...またね...」
渡すタイミングがわからずに結局、飛貴くんにブラウニーを渡せずに別れてしまった。
...せっかく作ったのに。
羽美も忙しい中一緒に手伝ってくれたのに。
気持ちがブルーになっていて、飛貴くんと別れた場所にしばらく1人、ポツンと立ち尽くしていた。
『Aさん?どうしたの?』
「えっ、あ、龍我くんか...ビックリした...」
突然声を掛けてきた龍我くんの片手には可愛らしい紙袋があった。
...羽美は龍我くんにちゃんと渡したんだ。
「...やっぱり貰えると嬉しい?」
『え?...ふふ、Aさんって浮所に似てるね』
飛貴くんに似てる?
私が?
龍我くんの言っていることがよくわからなくて、頭の上にハテナが浮かぶ。
「...どういうこと?」
『浮所楽しみに待ってるよ!行ってあげて』
ニコニコと微笑んでいる龍我くんに”頑張れ!”と背中を押されて、よくわからないまま走り出した。
飛貴くんにブラウニーを渡したい。
その気持ちだけで全速力で走る。
部活とか体育以外でこんなに走ったの久々かも...なんて呑気に考えながら飛貴くんを探した。
「っ、飛貴くんっ!飛貴くん!!」
飛貴くんの姿を見つけて大声で叫ぶ。
私の声に振り返った飛貴くんはビックリした表情を浮かべて、その場で立ち止まった。
『Aちゃん、どうしたの...』
ドキドキするのは、走ってきたから?
それともブラウニーを渡すことに緊張しているから?
___そんなの一目瞭然だった。
「あのね......」
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作者名:心音. | 作成日時:2019年11月10日 16時