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深澤「やなの？｣
｢だって………、｣
わたしだってバカじゃないもん。入ったことないけど、それくらいはわかる。
手をつないだまま、深澤くんに連れられてきた先は、そういうことをするための……
深澤「だーいじょぶだって。ふつうにホテルだよ、｣
｢………ちがう、｣
だってそんなこと、しにきたんじゃないの。
お兄ちゃんがどこで何やってたって、自由だって、言われたばっかりなの。
だから、ここでお兄ちゃんが何してたって……
深澤｢……いつか壊さないとさ、始まんないよ？｣
｢………こ、わす…｣
深澤｢そう。初めてなんてさ、いつまでも持っておけるもんじゃないじゃん。いつか壊さないと、ずっとこのままだよ？｣
………けど、そう深澤くんに煽られるたびに、思い出すのはお兄ちゃんの言葉。
ちゃんと好きな人と経験しろって、お兄ちゃんはそう言いたかったんだと思う。
でも、もしそうなら、わたしは一生できないってことだもん。お兄ちゃん。
知らないからそんなこと言えるんだよ。
兄妹はそんなことしちゃいけない。
お兄ちゃんに奪ってもらうことなんてできない。
でも………
深澤｢きらい？俺、｣
｢……き、らいじゃ｣
深澤「じゃあよくない？｣
………なんだか今日は、深澤くんがこわい。
いっつもニコニコ笑ってて、てきとーなこと言って、お兄ちゃんに叩かれてるような、そんな感じじゃない……。
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作者名：恋 | 作成日時：2021年7月20日 1時
