第44話 あの日の君は ページ45
ー採火城ー
新王即位式から帰って来たAは、部屋に戻りヨナとハクのことを考えていた。
A『どうしてｯどうしてこんな事にｯヨナｯハク貴方達にもう一度会いたい！……こんなに、2人を想う事ができるなんて、初めて会った時は考えもしなかった……』
Aは、ヨナと初めて会った日のことを思い出していた
ー回想ー
火の部族長であるスジンに連れられ、Aは緋龍城に来ていた。2人はイル陛下に挨拶をしに行くと、陛下の側には小さな赤毛の少女がいた
スジン「イル陛下にご挨拶申し上げます」
イル「ありがとう、スジン将軍…そちらのお嬢さんはご息女かな？」
A「はい、カン・スジンの娘カン・Aと申します」
イル「そうか…では、スジン将軍話し合いを始めようか。そうだA、良かったらヨナと一緒に遊んでやってはくれないか？」
スジン「そうしなさい、A」
A「はい、父上……貴方、お名前は？」
ヨナ「…ヨナ」
A「そう、素敵な名前ね。私はA、一緒に遊んでくれる？」
ヨナ「うん、いいわよ(ニコッ」
A『ヨナは、良く言えば元気で明るい可愛い子、悪く言えば世間知らずの我儘な姫だったから正直得意なタイプではなかったと思う。けど、強い子だと思えた出来事があった。』
A『今日も、ヨナに会いにきたけれど…どこにいるのかしら？』
女官1「…全く、何故イル陛下が国王になられたのか…」
女官2「ええ、本当に、あんなに弱い王などこの国に必要ないのに、だからヨナ姫も我儘に育ってしまうのよ。」
女官1「それに、ヨナ姫の髪見た？真っ赤で普通ではない髪色、気味が悪い」
女官2「本当に、何故あのような色なのかしら…陛下と皇后は黒髪だというのに」
そう女官達はヒソヒソと陛下とヨナの悪口を言っていた。
A『くだらない、イル陛下は弱いのではなく優しい御方それは美点になり得る、ヨナの髪色だって暁の空のようで美しいのに…それに、近くで誰かに聞かれたらどうするつもりなのかしら？』
そうAは考えながら辺りを見渡すと、丁度女官達の後ろの壁にヨナが隠れて何か我慢しているように、下を向いていた。
A『あの歳で悪口を言われても泣く事もなく、普段から多分言われることもあるのだろうに…それを見せずに笑っている……ああ、あの子は…ヨナはどうやら強い子であったらしい。ならば私はあの子の為に行動しよう。』
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作者名：神涙 | 作成日時：2023年11月14日 21時
