【暁のヨナ】私に出来ることを (ページ44)

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第43話ページ44

人々の心は邪に満ち、神を忘れてゆき国は荒れた

緋龍王も、権力を欲する人間達に捕らえられた

あわや、討ち滅ぼされそうになった時、天界から四体の龍が現れ

青、緑、黄、白の四体の龍は緋龍を守る為
人間の戦士に自らの血を与え力をもたらした。

ある者は、何をも引き裂く鋭い爪を
ある者は、彼方まで見通す眼を
ある者は、傷つかない頑丈な体を
ある者は、天高く跳躍する脚を

龍神の力を手に入れた戦士達は部族を率い
緋龍王を守り国の混乱を鎮めた。

やがて闘い疲れた赤き龍は眠りにつき、四龍の戦士達は役目を終え、それぞれいずこかへ消えたと言う。

イクス「残された部族は、独自の発展を遂げ今の五部族となったのです」

ヨナ「建国神話、それが私に何の関係が？」

イクス「ヨナ姫は生きたいと言いましたね」

ヨナ「はい」

イクス「でも独りでは生きられない。外に出れば、また命を狙われるから。あなたの側にはあなたを支えるハク殿がいる。しかし、このままでは･･･｣

真っ直ぐな瞳で真剣な表情をしたイクスはヨナを見据え言葉を落とした。

ｲｸｽ「──ハク殿は死にます」

その言葉に、ハクは眉をピクっと動かした。

ハク「ちょっと待て、勝手に殺すな、神の声なんざ俺は聞こえねぇ、そんな…」

ユンが軽くハクの傷口を殴るとハクは目を見開き痛みを堪えてプルプルと震えている。

ハク「脅しかけても布施は出さんか･･ら･･な」

イクス「このよーに非常にやばい。あなたには味方が必要なのです」

ヨナ「でも、誰が･･･」

イクス「四龍の戦士を探しに行かれよ」

イクスの迷いのない言葉、それにヨナは食いつくとキラキラと目を輝かせた。

ヨナ「四龍の戦士って伝説の!? いるの･･･!?」

ハク「まさか、神話の時代だぞ」

イクス「いますよ。彼らは今でもこの国で龍の力を受け継いで生きている、彼らが力を貸してくれるでしょう」

ヨナ「神官様、私はハクを死なせたくない。けど、伝説の龍達はこんな私事で力を貸してくれるかしら｣

イクス「あなたはあの夜、奇跡的に命を拾い、城から奇跡的に逃げのび、この奈落の崖を落ちて奇跡的に無事でした。それはもう奇跡ではなく、ここへ導かれる天命だったのだと僕は思います。伝説の四龍をもし見つけることができたなら、それはあなたの私事ではなく天命なのです。しかし天は道を示すだけ、歩いて行くのはあなた自身です」

言い終わったイクスはまた疲れたのかダラっと力が抜けてしまっている。

イクス「たくさん喋って疲れたでふ･･･」

ユン「神と年寄り話長すぎ」

あれから色々あり、ヨナとハクはユンを連れ四龍を探す旅に出ることになった。