第39話 ページ40
｢ユン君、ユン君、聞いてくれ！僕の話を聞いてくれっ｣
盛大に響く足音、誰かと思えばどろんこまみれの男の人が泣きながら入ってきた。
ユン「ちょっともう！何で泥だらけだよ」
｢皆が幸せであるといいなって天に祈りを捧げてたら滑って転んじゃって」
ユン「めんどくさ！あんた天に見離されたんだよ｣
そして謎の男の人と目が合うと漸くヨナに気がついた。
｢目を覚まされたんですね！良かった〜。どもです。僕、イクスと申します。ユン君の保護者みたいなものでして」
ヨナ「私は･･･」
ヨナ『名乗るのはいけない…かしら、悪い人達には見えないけど ここは火の部族の地に近いし…』
イクス「ほん･･･とに････辛かったですね」
イクスはヨナを見つめると涙を流しながらそう言った。
ヨナ「や、私は何も･･･。崖はハクがかばってくれたので」
イクス「いえ、よく旅立ちの決心をされた。ましてやヨナ姫ともあろう方が…」
ヨナ「……ちょっと待って、なぜ私の事を知っているの…？」
イクス「それは神様のお告げで…」
ユン「バカじゃないの？そんなに簡単に喋って、隠れ住んでる意味ないじゃん」
ヨナ「まさか･･･」
イクス「しまった、姫様にはきちんとした姿でお出迎えするつもりだったのに･･･」
ヨナ『もしかして……この人が、神官様‼︎』
ヨナはまさかの事実に目を見開いた
ヨナ「神官様･･･。あなたが？ユホン叔父上に弾圧されたと聞いたから、もっとおじ様かと思ってた」
イクス「それは先代でして僕が跡を継いだのです」
ヨナ「私がここに来る事も知っていたの？」
イクス「はい、僕は神様の声を皆に伝えるのが仕事。
この世界のあらゆる事を神様に教えてもらうんです」
ユン「何が仕事だよ、金も稼いでないくせに毎日祈ってるだけじゃん。だいたい神の声とかうさんくさい事を言ってるから城から追い出されたんでしょ。」
ヨナは不思議そうに聞いた
ヨナ「どうして追い出されたの？」
ユン「呆れた、城にいたくせに知らないの？」
ユンはそう冷たい目で言い放った。
ヨナ『私は、城の中のことも何も知らない…』
ハク「うｯ……」
ヨナ「ハク‼︎」
ユン「どいて、熱があるね…手術したからしばらくは熱、引かないよ。今晩が峠…ってトコかな」
ヨナ「ハクを助けて…‼︎」
ユン「やってるよ、死なれると面倒だし…でも、俺は医術師じゃないし助けてもらうのが当然だと思わないで。」
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作者名：神涙 | 作成日時：2023年11月14日 21時
