【暁のヨナ】私に出来ることを (ページ39)

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第38話　　神の声が呼ぶ谷ページ39

ヨナ「声が…聞こえる…大勢の…人々の声…そこにいるのは誰？…スウォン？」

ピチョン、ピチョンと何かが落ちる音が聞こえ、ヨナは目を開けると、口にオレンジを搾る少年の姿。

｢あ、起きた、手疲れちゃったよ。食べちゃって」

オレンジを口に突っ込まれるとぼーっとしたまま少年に顔を向けた。

ヨナ「ふぁれ(だれ)？」

ユン「俺はユン。ただの通りすがりの美少年だから忘れていいよ」

ユンという少年は同じようにヨナに聞き返す。

ユン「あんた達こそ誰？山賊には見えないけど、あの崖から落ちて生きてるなんてしぶといね」

ヨナ「崖･･･そうだ私…」

ヨナは、頭をおさえながら起き上がれば、気を失う前に何があったのか思い出す。

ヨナ「ハク…！ハクはどこ⁉︎」

ユン「ハク？ああ、一緒にいた黒髪の男ならあそこに…」

ユンが見た方を向けばそこには…

ヨナ「ハク…！」

全身に包帯を巻かれ所々血が滲んでいるのハクがいた。

ヨナ「ハ…ク…」

ユン「生きてるよ、かろうじてね。体に受けた毒は何とか抜いたけど、胸に刀傷に出血多量で全身打撲にろっ骨もイってる。あと少し治療が遅かったら死んでたね。多分崖から落ちた時あんたを庇ったんだ、抱きしめるようにして倒れてたもん」

ヨナ『ハク………‼︎』

ユン「そいつあんたにそんなに尽くして何？恋人？」

ヨナ「ううん、全然違う」

顔をブンブンと横に振って即答するとユンはハクに同情している様子で

ユン「ふぅん、何かかわいそうだね」

と言った。

ヨナ「ここは谷底？ここに住んでるの？」

ユン「まあね」

ヨナ「あなたは医術師？私、人を探してるんだけど」

その時、バタバタと人が走ってくる音に扉に目を向けた。