第31話 ページ32
A「ハク……私はその時側にいて共に守ることができなかったから大丈夫だなんて言う事は出来ないけれど、これだけは言えるわ。……あなたは、ヨナを…イル陛下が最も大切にしていたヨナを守ったじゃない。だから、そんなに苦しそうな顔をしないで」
Aはそう言うと、ハクを抱きしめた。ハクはAの肩に頭をおいて、抱きしめ返した。
A「ヨナを…あの子を守ってくれて…ありがとう」
ハク「…ｯ」
ハク『Aは、いつも俺の欲しい言葉をくれる…今だってコイツがいてくれて安心している自分がいる…』
ハク「……俺は……守ることができていたか？」
A「ええ、もちろん、貴方のおかげでヨナは今少しでも笑うことが出来ている」
ハク「そうか……そうかッ」
ハクはそう言うとしばらく動かなかった。
しばらくすると
ハク「……ありがとう、A、おかげで落ち着いた。
すまねェがこの後行くところがあるから行くわ」
A「ムンドク様の所でしょ、私も一緒に行くわ」
ハク「！…やっぱり、アンタには敵わないなぁ、わかった、でも俺がする事に口を挟まないで欲しい。」
A「もちろん、分かっているわ」
ームンドクの部屋ー
ハク「失礼、長老様…一杯、どうですか？」
A「失礼致します」
ムンドク「珍しいな、お前がワシに、こんな良い酒を…」
ハク「いや…これは、じじい秘蔵の酒蔵から」
ムンドク「ぶー⁉︎」
ハク「もったいねーな」
A「クスクス(笑」
ムンドク「……で？何の用じゃ」
ハク「……ちょっと、考え事をじっちゃんがたった1人なら、槍一つ掲げて城に乗り込んだんだろーなって」
ムンドク「小僧が…人の事言えるのか」
ハク「老体に色々、しょいこみ込みすぎだろジジイ」
ムンドク「フン」
ハク「………頼みがある、スウォンの新王即位を承認してくれ。俺は、明朝風の部族を去る…あんたに“ソン“の名をお返しする。あんたは、風の部族を守る事だけ考えてくれ…承認すれば、火の部族も手出しはしない」
ムンドク「……賞金首にでもされるかもしれんぞ」
ハク「いいねェ、高華一の悪党にでもなるか」
ムンドク「……姫様は、置いてゆく気か？」
ハク「………よーやく少し笑える様になって来た、連れてきてよかったと思ったる。頼みはもう一つ、ヨナ姫を城から隠し、一生風の部族の人間として、生かしてやってくれ」
ムンドク「嫌ぢゃ…孫のお願いなんざワシは聞かん、ワシはお前を手放したりせんぞ………部族長の命なら、従わん訳にもいかんが…」
ハク「風の部族長、ソン・ハクの最後の命令だ」
ムンドク「御意」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 26人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：神涙 | 作成日時：2023年11月14日 21時
