あの夏の日 (ページ12)

今日:3 hit、昨日:52 hit、合計:57,208 hit

和said ページ12

あれからそんなに時間が経ったと思わなかったけどもう武田さんが迎えに来ちゃった。

武「二宮くん大丈夫？いつも駐車場まで来てるのに珍しい。もうみんな帰ったんだね。」

「うん。みんな仕事だって。」

目をつむりながら答えると武田さんの手がおでこにあてられる。

武「うーん、熱はなさそうだね。」

「大丈夫だよ。ちょっと眩暈するだけ。」

武「眩暈するの？前もそんなことあったよね。」

「だいぶ良くなった。帰ろう。」

申し訳ないけど武田さんの心配する声をスルーして立ち上がる。

深呼吸してから鞄を持ってドアへと向かう。

本当に眩暈は良くなったんだけどまだ浮遊感というかふわふわする感じ。

多分まっすぐ歩けてると思うんだけどどうかな？

武田さんはいつもより遅いであろう俺の歩く速さに何も言わず着いて来てくれている。

エレベーターの浮遊感と自分の揺れている感じが合わさって無意識に深呼吸を繰り返してしまう。

普段武田さんとは色んな話をするんだけど話すまでの余裕はない。

無言のまま助手席に座ると車が動き出した。