僕らの場所 (ページ4)

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雅side ページ4

彼の左手の中にある黄色い石のようなものが握られているのに気付いた。

彼はぐっとそれを握りしめたと思ったらゆっくりと立ち上がった。

ふらふらと立ち上がったがさっきまで寄りかかっていた木を頼りにずるずると座り込んでしまった。

目を強く閉じ、左手を強く握っている。
息も荒く、とても池までたどり着けそうにない。

でも彼は何度も立ち上がろうとしている。

最後ははってでも前に進もうとしていたが太い木の根元に寄りかかり荒い息を繰り返すだけになってしまった。

僕の足音を聞いて、まだいたか、とでも言いたそうな目で僕を見る彼は襲いかかってくる気配を感じることはできなくなっていた。

辺りは薄暗くなり表情が見えなくなってきた。

彼は静かに目を閉じた。

数秒眺めていたが目は開かない。

気づくと僕は彼に触れていた。

もう彼は池からの救いを得ることはできない。

僕は彼を抱き起こすが目を覚まさない。
辛うじて息をしている。

彼を背中に背負う。

弱くて浅い息がかすかに聞こえる。

僕は早足で家に向かう。