10.先輩と後輩 ページ10
「…まぁ、笑えば先輩が緊張せず話してくれるなら」
伏黒くんの言葉に、私は緊張が解け敬語が抜けていたことに気が付いた。
『うん。笑ってくれた方が、話しやすいな』
「分かりました」
『あと、たくさん甘えてね。呪術師としては伏黒くんの方が優れてるけれど、私の方が年上だし…私以外の2年生、みんなしっかりしてて頼りがいがあるし!』
「…じゃあそれ、貰っていいですか」
そう言って伏黒くんが指差したのは、私の手に握られているオレンジジュース。
『え、これ?』
「それです。先輩、違うもの買いたいんでしょう」
『気を遣ってくれなくていいんだよ、これは誰かにあげればいいんだし。好きなの選んでくれたら…』
「それ、好きなんで」
伏黒くんは「いただきますね」と、私の手からジュースを攫っていった。
『…ごめんね、ありがとう』
「こちらこそありがとうございます」
お礼を言いながら、私はもう一度自動販売機にお金を入れる。
私が紅茶のボタンを押す前に、伏黒くんが「これですよね?」と紅茶を指差す。
頷くと彼が代わりにボタンを押してくれたので、私は背伸びをせずに済んだ。
『ありがとう』
「さっさと戻りましょう。狗巻先輩に怒られるのも嫌ですし」
伏黒くんがゆっくりと歩き出す。
私は、今朝の五条先生の言葉を思い出していた。
“ 冷たい子に見えるかもしれないけど、いい子だから ”
先生の言う通りだった。
口数も笑顔も少なく冷たく見えていたけれど、私に合わせてかゆっくり歩いてくれたり、届かないボタンを代わりに押してくれたり。
優しい後輩と少し距離を縮められた気がして、嬉しくなった。
これから私も良い先輩になっていけますように、そう願って私は伏黒くんの後に続き歩き出した。
3547人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
saki - 棘くんの呪いが出てくるとは…!伏線回収(で合ってるかわかんないですが)素晴らしすぎます!神作品ありがとうございます! (11月4日 23時) (レス) @page31 id: 15ea9621b8 (このIDを非表示/違反報告)
白狼(プロフ) - 続きが凄い気になる。ネタを考えるのと投稿頑張ってください!応援してます! (2022年4月4日 0時) (レス) id: 62f0033d85 (このIDを非表示/違反報告)
緋波(プロフ) - ネイジェさん» コメントありがとうございます‼︎上手くお話がまとまらず苦戦していますが、楽しんでいただければ嬉しいです*これからもよろしくお願いします* (2022年1月19日 16時) (レス) id: 55d308068d (このIDを非表示/違反報告)
ネイジェ - 続き、続きが気になる・・・!とっても私の好みな作品です!神ですか!?神なんですか!?更新頑張って下さい!応援してます!!! (2022年1月18日 14時) (レス) @page29 id: 09b28cb614 (このIDを非表示/違反報告)
緋波(プロフ) - 姫宮 玲雅さん» コメントありがとうございます*ゆっくり頑張ります‼︎ (2022年1月16日 11時) (レス) id: 55d308068d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:緋波 | 作成日時:2022年1月4日 15時