7.王子様 ページ7
風の音が聞こえて、私は目を開いた。
『…狗巻くん？』
一番に目についたのは、狗巻くんだった。
いつもと違って見えるのは、口元のファスナーが下り呪印が見えているからだろうか。
「…明太子？」
『ん〜…寝てたんだ、私。おはよう』
「…高菜」
私に覆い被さるような姿勢を起こした狗巻くんは、私の手を取り体を起こすのを手伝ってくれた。
『そうだ、私、自分に術式を掛けちゃったんだっけ…』
「…しゃけ」
『まさか自分にも掛かっちゃうなんてなぁ。起こしてくれてありがとう、狗巻くん』
「…しゃけ」
眠りから覚めた私は、まるでおとぎ話の世界から帰ってきた気分だった。
ふと、小さい頃に読んだおとぎ話を思い出す。
『なんだか、眠り姫のお話みたい。呪いをかけられて眠っちゃうの。眠り姫は、王子様のキスで目を覚ますんだっけ』
私の言葉に、なぜか体を跳ねさせる狗巻くん。
彼が驚くので私もびっくりしながら、口元が顕になっていることで気が付く。
『あ、呪言で起こしてくれたの？だから口元、見えてるんだね』
「…しゃけ」
ファスナーを上げ彼は頷いたが、私は少し違和感を覚えた。
『…あれ、狗巻くん。なんで赤くなってるの？』
「…」
『なんで背中向けちゃうの』
「…」
『そういえば心の声が聞こえない…何か、隠してる？』
背中を向けた狗巻くんに、目を合わせに行く。
彼は頑なに逸らしてくる。
『なんで逸らすの？！』
「…」
『何か言ってよ〜！なんで心の声、聞かせてくれないの！』
「おかか！！」
なぜか顔を赤らめている狗巻くんを見て、私はもしかして、と溢す。
『…私が目を覚ましたの、王子様のキスだった…？』
「………」
沈黙が長い。
けれど狗巻くんの反応を見るに、私の言っていることは正解なんだろう。
私は嬉しさと恥ずかしさで彼の顔を見ていられなくなり、自分の膝に顔を埋めた。
「…高菜、ツナマヨ…！」
狗巻くんの申し訳なさそうな声が聞こえる。
私が怒っていると思っているんだろうか。
誤解を解くため、少し顔を上げ彼の顔を見る。
『…起きてるときにしてほしかったな…』
狗巻くんの顔が、音が出そうなくらいボッと赤くなる。
更に恥ずかしくなってまたうずくまっていると、狗巻くんが寄ってくる気配がした。
さっきまで聞こえなかった彼の声が、頭に響く。
〈…今の、可愛い…顔、見せて〉
恥ずかしさよりも彼と見つめ合いたい気持ちが勝ち、私は観念して顔を上げた。
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saki - 棘くんの呪いが出てくるとは…！伏線回収（で合ってるかわかんないですが）素晴らしすぎます！神作品ありがとうございます！ (11月4日 23時) (
レス) @page31 id: 15ea9621b8 (このIDを非表示/違反報告)
白狼(プロフ) - 続きが凄い気になる。ネタを考えるのと投稿頑張ってください！応援してます！ (2022年4月4日 0時) (レス) id: 62f0033d85 (このIDを非表示/違反報告)
緋波(プロフ) - ネイジェさん» コメントありがとうございます‼︎上手くお話がまとまらず苦戦していますが、楽しんでいただければ嬉しいです*これからもよろしくお願いします* (2022年1月19日 16時) (レス) id: 55d308068d (このIDを非表示/違反報告)
ネイジェ - 続き、続きが気になる・・・！とっても私の好みな作品です！神ですか！？神なんですか！？更新頑張って下さい！応援してます！！！ (2022年1月18日 14時) (レス) @page29 id: 09b28cb614 (このIDを非表示/違反報告)
緋波(プロフ) - 姫宮 玲雅さん» コメントありがとうございます*ゆっくり頑張ります‼︎ (2022年1月16日 11時) (レス) id: 55d308068d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緋波 | 作成日時：2022年1月4日 15時
