2.あなたの声 ページ2
新学期にも関わらずいつも通りの授業や訓練で疲れた僕は、何をする気にもなれずに寝転がっていた。
昨夜の寝不足のせいで疲れと睡魔が押し寄せ、微睡み始めていた頃だった。
突然携帯が鳴り始め、画面に表示される『A』という文字に一気に目が覚めた。
「しゃけ」
『あ、狗巻くん？こんばんは〜』
Aの柔らかい声に、疲労も眠気も過ぎ去っていく様な感覚がした。
『今日も疲れたね。眠くない？まだ寝なくて大丈夫？』
「しゃけ、おかか」
眠いけど、眠るよりもAと話したい。
そんな意味で言った言葉。
“呪言”のせいで素直に気持ちを伝えられず、離れているせいでAは僕の心を読むことができない。
Aにきちんと伝わるか、不安が胸をよぎったけれど、彼女の小さな笑い声でそれはなくなった。
『眠いけれど、話したいとは思ってくれてるってこと？』
「…しゃけ」
『ふふ…私もだよ』
彼女の言葉に、自分でも顔が赤くなったことが分かった。
「…高菜、ツナマヨ？」
Aが多少理解してくれるとはいえ、僕はこんな言葉しか口に出せない。
こんな会話しかできない通話は、Aからしたら退屈なんじゃないか。
そう伝えるつもりで言った言葉を、彼女は『ん〜…』と小さく唸りながら吟味した。
『…私、狗巻くんの声が聞けるだけで嬉しいよ。なんて言ってるのかは、少し伝わりづらいけど』
Aの返答に、僕は驚いた。
すぐ近くに彼女がいて、心の声を聞かれているのではないかと疑った。
『あれ、予想外れたかな？』
「おかか！しゃけ！」
『さっきから、なんで否定と肯定を同時に使うの。分かんないよ〜』
そうは言っているが、なぜかAは離れていても僕の気持ちをわかってくれた。
『お隣のお部屋に真希ちゃんがいるんだから、あんまり大きい声で笑っちゃいけないのに』
そう言いながら、Aはクスクス笑っている。
彼女の楽しそうな笑い声に、僕も少し笑ってしまった。
『…あ、そうだ。さっきは言えなかったんだけどね』
ひとしきり笑った後、Aが何か思い出した様子でそう言った。
『狗巻くん、私の声を聞いてドキドキしたって思ってくれてたでしょう？』
「…しゃけ」
昨日の寝不足の原因がバレていたせいで、少し恥ずかしかったけれど。
『…私もね、ドキドキしちゃって少ししか眠れなかったの』
恥じらいながら言った彼女が愛おしくて、また眠れなくなるんじゃないかと思うほど心臓が高鳴った。
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saki - 棘くんの呪いが出てくるとは…！伏線回収（で合ってるかわかんないですが）素晴らしすぎます！神作品ありがとうございます！ (11月4日 23時) (
レス) @page31 id: 15ea9621b8 (このIDを非表示/違反報告)
白狼(プロフ) - 続きが凄い気になる。ネタを考えるのと投稿頑張ってください！応援してます！ (2022年4月4日 0時) (レス) id: 62f0033d85 (このIDを非表示/違反報告)
緋波(プロフ) - ネイジェさん» コメントありがとうございます‼︎上手くお話がまとまらず苦戦していますが、楽しんでいただければ嬉しいです*これからもよろしくお願いします* (2022年1月19日 16時) (レス) id: 55d308068d (このIDを非表示/違反報告)
ネイジェ - 続き、続きが気になる・・・！とっても私の好みな作品です！神ですか！？神なんですか！？更新頑張って下さい！応援してます！！！ (2022年1月18日 14時) (レス) @page29 id: 09b28cb614 (このIDを非表示/違反報告)
緋波(プロフ) - 姫宮 玲雅さん» コメントありがとうございます*ゆっくり頑張ります‼︎ (2022年1月16日 11時) (レス) id: 55d308068d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緋波 | 作成日時：2022年1月4日 15時
