27.昼寝 ページ28
『真希ちゃん〜、おはよう〜』
ある休日。
部屋でひとりで過ごしていると、ノックと共にAの声が聞こえて来た。
「おはよ。もう昼だけどな」
そう言いながら、扉を開ける。
部屋着姿のAが、寝ぼけ眼でお気に入りの縫いぐるみを抱いて立っている。
「…思いっきり寝起きじゃねぇか」
『真希ちゃんが夢に出てきたからね〜、会わなきゃって思って』
「何だよそれ」
そう言いながらも、微笑むAは愛らしくて、思わず寝癖の付いた頭に触れる。
「…で。何しに来た？」
『一緒にお昼寝〜』
間延びした声が言う。
「眠くねぇよ」
『私は眠いの』
「とんだ自己中だな」
Aは最近、私達に対してよく我儘を言うようになった。
我儘と言っても小さなものだけれど、それはAが私達との距離を詰めてくれている証拠なのかもしれない。
『一緒に寝ようよ〜、お休みの日にひとりでお昼寝は寂しいもん』
「眠くねぇんだって」
誰かと寝たいなら、棘の所にでも行けばいいのに。
そう考えていると、Aは何故か少し恥ずかしそうに頬を膨らませていた。
何ひとりで照れてんだ、こいつ。
『…じゃあ、一緒にいてくれるだけでいいから…ここで寝させて？』
…こいつの上目遣いは、女の私の心臓にも悪い。
「…しゃーねぇなぁ」
部屋に入ることを許可すると、Aは馬鹿みたいな笑顔で入って来た。
『真希ちゃんのお部屋〜』と嬉しそうに言いながら、ベッドの前に座って目を閉じる。
「…マジで寝に来たのな」
Aの体に寄り掛かる様に座ると、彼女は『ふびゃ』と変な声を上げた。
『…引っ付いて寝てたいから、真希ちゃんじっとしてて〜…』
「はいはい」
そのすぐ後には、Aの静かな寝息が聞こえて来た。
「寝んの早…」
最近任務が続いていたし、疲れていたのかもしれない。
Aの方を向くと、どこか幸せそうな表情で眠っていた。
Aの寝顔を見て、ふと妹の真依の事を思い浮かべる。
もしも私達が禪院なんていう血筋の元に生まれていなかったら、こんな風にゆっくりと過ごす時間が、真依との間にもあったんだろうか。
そんなことを考えながら、なんとなくAの子供のような寝顔を写真に収めた。
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saki - 告白の仕方がこう…どっちも呪いって言うのが良すぎる！硝子さん出てくるのも好き… (11月4日 0時) (
レス) @page43 id: 15ea9621b8 (このIDを非表示/違反報告)
佳日 - 初めまして！緋波さんの描く狗巻先輩とヒロインがすごく可愛らしくて一気に最新話まで読んでしまいました！ずっときゅんきゅんしています！素敵な作品をありがとうございます！ (2021年4月11日 12時) (レス) id: d082233f53 (このIDを非表示/違反報告)
ねね - 狗巻先輩かっこいい〜〜〜！あの整った顔立ち、さらっさらの髪の毛！素敵な声〜〜〜!!凄く好きです！好きすぎて丸一日狗巻先輩のことを考えています！！大大大大ファンです！続きを楽しみに待ってます！ (2021年3月19日 21時) (レス) id: 1efb73ea53 (このIDを非表示/違反報告)
緋波(プロフ) - #すずめさん» ありがとうございます~!*これからも頑張ります* (2021年3月6日 19時) (レス) id: c96b915781 (このIDを非表示/違反報告)
#すずめ(プロフ) - 狗巻先輩可愛い!これからも更新頑張って下さい!! (2021年3月6日 8時) (レス) id: d788bf59a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緋波 | 作成日時：2021年2月21日 0時
