2.不審者 ページ3
「初めまして。君、良い術式持ってるね」
『…はい？』
学校の帰り。
突然話し掛けて来た長身の男の人に、私は思わず聞き返した。
〈これ、本人気付いてないタイプだよなぁ…僕がだいぶ不審者になっちゃうけど、強引にでも高専に引き込みたいな。この辺、呪詛師が彷徨いてたって報告も出てるし〉
彼の思念は何一つ理解出来なかった。
気付いてない？何を？
まず、“術式”や”呪詛師“なんて言葉は初めて聞いた。
それに、突然こんなことを言われなくたって、全身黒い格好に目隠しをして歩いている人間なんて、不審者に見えてしまう。
「あれ、視えてるよね？」
戸惑う私を尻目に、彼は後ろを振り返る。
視線の先には、黒いモヤモヤとした“幽霊”。
〈指も差してないのに、ちゃんと呪霊の方を見てる…視えるし、頑張ればすぐに祓えるようになるタイプだな〉
心の声に、ハッとしてしまう。
思わずあの化け物を凝視してしまった所を、見られてしまった。
この人は観察眼が良いらしい。
『…何のこと、ですか』
「誤魔化してもダメだよ。僕、眼が良いから」
〈はぐらかすよな、そりゃ。無理やり担いで高専まで飛ぶか…いや、まず説明してみるか〉
物騒な言葉に、私は眉を顰める。
この人、私をどうするつもり？
「面倒だから簡単に説明するとね、あれは幽霊じゃなくて呪霊だ。そして君には、アレを退治出来る力がある」
『…は…？』
「ん〜…僕、説明苦手なんだよね」
そう言って、男の人は腕を上げた。
ベチャ、と嫌な音がして、あの黒いモヤモヤが消えた。
訳が分からなくて、目を見開く。
〈ビックリしてる。やっぱ視えてんじゃん〉
『あっ…』
思わず声を上げ、目を逸らす。
『…あの、急いでいるので失礼します！』
これ以上関わりたくなくて、私は踵を返す。
〈あれ、この子…〉
思念が聞こえて来るが、気にしない。
無視して家に帰る、筈だった。
___A
『え？』
名前を呼ばれた。
振り返っても、彼は口を噤んでいる。
「…やっぱり、僕の心読んでるでしょ」
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saki - 告白の仕方がこう…どっちも呪いって言うのが良すぎる！硝子さん出てくるのも好き… (11月4日 0時) (
レス) @page43 id: 15ea9621b8 (このIDを非表示/違反報告)
佳日 - 初めまして！緋波さんの描く狗巻先輩とヒロインがすごく可愛らしくて一気に最新話まで読んでしまいました！ずっときゅんきゅんしています！素敵な作品をありがとうございます！ (2021年4月11日 12時) (レス) id: d082233f53 (このIDを非表示/違反報告)
ねね - 狗巻先輩かっこいい〜〜〜！あの整った顔立ち、さらっさらの髪の毛！素敵な声〜〜〜!!凄く好きです！好きすぎて丸一日狗巻先輩のことを考えています！！大大大大ファンです！続きを楽しみに待ってます！ (2021年3月19日 21時) (レス) id: 1efb73ea53 (このIDを非表示/違反報告)
緋波(プロフ) - #すずめさん» ありがとうございます~!*これからも頑張ります* (2021年3月6日 19時) (レス) id: c96b915781 (このIDを非表示/違反報告)
#すずめ(プロフ) - 狗巻先輩可愛い!これからも更新頑張って下さい!! (2021年3月6日 8時) (レス) id: d788bf59a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緋波 | 作成日時：2021年2月21日 0時
