呪術廻戦*狗巻くんの心の声

10.膝枕 ページ11

ある日、私はみんなに見守られながら五条先生に“術式”について教えてもらっていた。


「じゃあA、僕を寝かせてみて」


突然五条先生に言われるが、私には意味が分からない。

先生は〈早く早く〜〉と思念で急かすだけで、何も教えてくれない。


何もしない訳にもいかず、私は近くにあったソファに座る。


『…五条先生、こっち来てください』


私の言葉に、五条先生は「ん？」と言いながらも言う通りにしてくれる。


『頭をこっちに…』

「え」


半ば強引に、五条先生をソファに寝かせる。


『おやすみなさい、五条先生』


私が言うと、五条先生は固まり、見守ってくれていたみんなは大きな声で笑い始めた。


『え、え…？違うの？』


困惑してみんなに尋ねたが、彼らは大爆笑していてまともに話せる様子ではない。

代わりに、みんなの思念が頭に響いて来る。


〈膝枕って…確かに寝かせてはいるけどな〉
〈Aさん、天然なのかな？〉
〈迷った結果これって…〉


そんな中、物騒な思念も。


〈Aの膝枕…ずるい…五条先生許さない…呪おう…〉


思念の主は、もちろん狗巻くん。

狗巻くん、先生は何も悪くないから、呪わないであげて…


『違うんですね、ごめんなさい…』

「んで、そこのバカはいつまでそうやってんだ」


ひとしきり笑った真希ちゃんが、私の膝に頭を置く五条先生に言う。


「Aの膝枕、めちゃくちゃ快適だからさぁ。ホントに寝れそう。寝ていい？」

『いいですよ』


「寝かせろ」という指示だったので、私は頷いた。


「おかか！！」


しかし突然、狗巻くんが大きな声を出す。


〈僕もされたい…五条先生なんかに膝枕しないで、A…〉


五条先生は彼の怖い表情を見て、「ごめんなさい降ります」とソファから降りた。


〈棘くん、どうしたのかな…〉
〈棘、嫉妬してんなぁ〉
〈我慢出来なかったんだな、棘〉


乙骨くんは心配して、真希ちゃんとパンダくんは心の中で揶揄っていた。

狗巻くんは、まだ不服そうな目で五条先生を見ている。


『…狗巻くん、先生は悪くないから、そんなに怒らないで？ね？』


狗巻くんに言うと、彼は私の顔を見て一瞬で笑顔になってくれた。


〈良い子だな、A。可愛い…僕も膝枕してほしい…〉


そんな思念ダダ漏れのあなたに膝枕なんてしたら、私は恥ずかしさで耐えられません…

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