角砂糖を一つ。 ページ26
･
「付き合ってないですよね」
主語も述語もない言葉のかけ方はコイツにしては珍しい。
それよりも言葉の内容のほうが気になって、俺は思わず隣を見た。
たまたま任務が一緒になった帰り道。
行き道は石のように固まって何も言わなかったくせに唐突に発した言葉がそれだった。笑いながらふざけて肩を組む。
「自分に言い聞かせんのはやめろよお兄ちゃん。いい加減妹離れしな」
「言い聞かせてませんよ、色々考えた末に辿りついた客観的事実です」
自信たっぷりなその答えに少し怯む。
七海にかまってもらうために、なんて可愛げのある理由から始まった嘘。それが本人にバレてしまえば、七海がAに構わなくなったら、この作戦はなかったも同じ。
失敗したからといってアイツが俺を嫌うかと言われればそうではないだろう。だがそれにかこつけて告白をしてしまった今となってはわからない。
七海が嘘をついたことを理由にAを叱ったり嫌ったりしてしまえばなおのこと、俺はアイツに顔向けできないし。
すました顔で前を向いたまま座っている七海に負けた気持ちになりながら、ふてくされた子供のように小声で告げる。
「…言っとくけど俺の提案だからな」
「そうなんですか、事実をわざわざ話していただけて光栄です」
「カマかけたのかよ！」
Aが器用な嘘をつけるような子ではありませんから、と反対方向を向いた可愛くない後輩。
どんだけAのこと好きなんだよコイツ。
大好きじゃねぇか。可愛さ余って憎さ倍増ってか？
ハッと鼻で笑いながらこちらを見下ろす後輩の首に腕を回して締めると嫌そうな顔で腕を掴まれる。
「…でも本気なのはわかりましたよ。じゃなきゃあなたが私に黙って殴られることなんてないでしょうし」
こちらを見ずにつぶやく七海。
自分が
「当たり前だろ、俺はいつだって本気だっつーの」
「過去の女性経験の話を聞く限りそうは思いませんがね」
「誰から聞いたんだよそれ」
「
「アイツら…」
友情儚すぎんだろ。何さり気なく俺の評価下げてんだあいつら。
七海はしばらく黙って、やがてまた口を開いた。
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lokiloki - こちらの作品をとても気に入ったのでプレイリストに載せさせてもらいます ※自分の作品を消したい場合はお手数をかけますがプレイリストの 【おもしろ度を投票】の上にある 【リストから削除】からやるか、プレイリストのコメントから作者に言ってください (12月15日 16時) (
レス) @page3 id: 7de4ffbd52 (このIDを非表示/違反報告)
眠民。＿ねむみん。 - 凄く面白いしいい作品でした~!!作者さんってもしかして最強!?これからも応援してます!ステキな作品ありがとうございました!! (11月19日 11時) (レス) @page45 id: 03ba19f866 (このIDを非表示/違反報告)
かけたま - こんなにも面白い作品を生み出すあなたは(^^)最強か？ これからも応援させて頂きます。 頑張って！！ (2021年12月12日 0時) (レス) id: a9aad67263 (このIDを非表示/違反報告)
猫餅 - 体長が体調になっています。>"< (2021年8月11日 20時) (レス) id: 3a7b856aca (このIDを非表示/違反報告)
ぬぬ(プロフ) - 素敵な作品私ありがとうございました。とても面白かったです！ (2021年4月26日 11時) (レス) id: 7168c245e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宙
| 作成日時：2020年12月31日 14時
