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 彼の名前は井上 智(いのうえ さとる)というらしい。
 普通の中学校に通う14歳で、行方不明になった女子生徒、藤堂紅花のクラスメイトだという。
 そしてそれがトイレの花子さんによるものだと噂になり、その噂を検証しに行った時。
 次いで行方不明になったのは、彼と一緒に居た男子生徒の中田 望(なかた のぞむ)。

 藤堂紅花は行方不明になってから数日が経過。
 中田望は行方不明になって1日らしい。・・・・・・つまりは。



 「君らは昨日、花子さんを確かめに行ったのかい?」

 「はい。ちょうど二人共暇で、それで・・・」

 「夜の学校に忍び込んだ、と」

 「・・・せ、正確には別の・・・俺らの通ってる中学の裏にある、廃校になった小学校に」



 廃校か。僕は頷く。
 昔はたくさんの人が居て、人の気配があった場所には霊が住み着くと聞いた。
 水場もあり、じめじめしていて、暗くて、そして人体模型や鏡があれば・・・
 "彼ら"にはそれなりに、住みやすい場所なんじゃなかろうか。

 そしてそこに夜踏み込むということは・・・・・・
 ぶるりと寒気がする。この子、余程勇気があるのか。

 子供の好奇心から来る行動力は、時に大人をも驚かせる。



 「お願いします、どうか、どうか。俺の親友を助けてください。お願いします」

 「・・・・・・ですってよ、焉さん」



 そんな風に聞かなくても、彼女の答えは分かっていた。
 既に彼女の瞳は爛々と輝いている。
 行く気は満々だろう。僕は呆れたように溜め息を吐いてから、智くんの頭を撫でた。

 くしゃっと少し押し込むように撫で、手を離すと不安げな瞳が僕を捉える。



 「・・・大丈夫だよ。この人がきっと助けてくれるから」



 そう言ってフッと笑えば、智くんも少し笑顔になる。
 そして焉さんも智くんの前にスッと出て、にこり・・・にやり?笑った。



 「大丈夫さ。・・・ただ、君はちょっと危険だからこれを持っておくといい」



 焉さんは智くんにお守りを1つ渡す。
 ・・・・・・危ないってどういうことだろう?
 僕は不思議に思いながらも、お守りを渡す焉さんの顔が真面目で有無を言わさないので、口を閉じた。
 余計なことを言うと、面倒なことになる。

 まだ不安の色を拭うことができていない表情で店を去る智くんの背を見送り、僕は焉さんに向き直った。
 さて、と彼女は一呼吸置き、僕を見据える。



 「行くよね?」

 「・・・はい」

〃→←〃



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総悟13(低浮上)(プロフ) - コメントありがとう!なぜシャレオツに言い換えた(笑)ありがとう!じゃあもっとずっと読んでもらえるよう頑張らなきゃね(笑) (2017年11月5日 18時) (レス) id: 296183b3c6 (このIDを非表示/違反報告)
堕天使(プロフ) - 真剣に読もうとやって来たらCSSが何かめちゃくちゃオシャレな……じゃなくてシャレオツな事になってて思わずコメントをしてしまいました。魅力的で素晴らしいの一言に尽きる!! (2017年11月5日 18時) (レス) id: 725743dc16 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:総悟13 x他1人 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年11月4日 2時

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