short story.1【連れ去られし死人】 ページ17
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(･･･なんてじめじめとしているのだろう)
死と黒に満ちたそこには、人の啜り泣く声と念仏だけが響いていた。
･･･べつに来たくて来たワケじゃない。早く帰ってゲームをしたい衝動を必死に抑える。
あんなただ厳しいだけの頑固じじいが死んで、なんだって言うのだ。
ちらりと上を見れば、死んだ自分の祖父の遺影が目に入る。
はぁ。遺影さえ眉間に皺寄せて仏頂面じゃねぇか。
自分の眉間にも皺が寄るのが分かり、慌てて顔を伏せる。
祖父に似て厳しい母親に、葬儀でそんな顔をするとは何事かと叱られるのは御免だ。
「―――――ほら、立ちなさい。良かったわね、ご飯ですって」
「･･････え？･･･あぁ」
いつの間にか聞き流していた念仏も終わり、顔も見たことの無いような親戚やら知り合いがぞろぞろと食堂へ向かっていっている。
気付けば俺の腹もぐぅと鳴り、葬式での飯にさして期待はしていないが、食おうと思った。
俺を追い越して親に着いていった弟の小さな背を眺めながら、俺も遺影に背を向ける。
「＿＿＿にゃぁ」
「･･･は？」
ふと、後ろから猫の鳴き声が聞こえ、俺は振り返る。
式場に猫を持ってくるなんてバカな大人が居るのだろうか。
俺は立ち止まって、声の聞こえた棺桶辺りに視線を巡らせる。
すると、黒い猫のシルエットがぼんやり見えた。
俺は目を擦る。･･････俺ってこんなに目ぇ悪かったっけか？
「―――――連れてくぞ」
「･･････え？」
「墓場の中から連れてくぞ」
次に聞こえたのは低いしわがれた声。
先程と同じ方向から聞こえてきており、俺は猫を凝視した。
「い、今のは･･･？」
すると猫の影は更にぼんやりとし、尻尾がゆらゆらと2つに裂け･･････
ニタリ、怪しく口角が上がったように見えたあと、溶けて消えた。
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総悟13(低浮上)(プロフ) - コメントありがとう！なぜシャレオツに言い換えた(笑)ありがとう！じゃあもっとずっと読んでもらえるよう頑張らなきゃね(笑) (2017年11月5日 18時) (
レス) id: 296183b3c6 (このIDを非表示/違反報告)
堕天使(プロフ) - 真剣に読もうとやって来たらCSSが何かめちゃくちゃオシャレな……じゃなくてシャレオツな事になってて思わずコメントをしてしまいました。魅力的で素晴らしいの一言に尽きる！！ (2017年11月5日 18時) (レス) id: 725743dc16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：総悟13 x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年11月4日 2時
