loss of memory

・ -YG side- ページ28

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「そして…Aさんには無数の傷と痣がみられます。ご両親は？」


「母は、12年前に亡くなってます…」


「そうですか。ではご家族はお兄様のほかにお父様だけということになりますね」


「はい、そうです…」



どうしてそんなことを聞いてきたんだ…？



「あの、なんで家族のことを…？」



情けないくらい声が震えた



「非常に申し上げにくいのですが…Aさんはお父様から性的虐待を受けていたと思われます」



今度こそ言葉を失った

頭を鈍器で殴れたような衝撃だった



「どうして…言い切れるんですか？」


「お父様からの虐待による男性恐怖症です。これまでAさんに男性が近づこうとすると過呼吸が生じ、多汗、動悸が激しくなり、気を失ってしまうことも多々ありました」


「僕…でもですか？」


「えぇ。お目にかかったでしょう、先ほどの取り乱し様に…」



信じたくなかった

それと同時に罪悪感に包まれた。俺が家を出なければ…

Aがこんなひどい目に遭うことはなかったのだろうか





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