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「ね、A」
「んー?」
窓からお互いの部屋に侵入してくつろぐ生活にももう慣れた。
(私の)ベッドに寝転がりスマホを弄っていた瑞稀が体を起こして私の肩に顎を乗せる。
この距離感がおかしいってことは高校に入ってから知った。
けど、生まれて16年ずっと近かった私達には普通の距離感が分からなくて。
私達にはこれが普通だよね、って自分達がおかしいことに気づかないフリをした。
「今すぐ図書委員やめて」
「…ん?」
いきなり何だと瑞稀の方を向くと、少し動いたらキス出来そうな距離にあったその顔。
さすがにこれは近すぎ、と瑞稀とおでこを押してからどういうこと?と尋ねた。
「…秘密、」
「理由くらい教えてよ。そもそもやめられないし…」
高校最後の1年、部活も何もやってなかったせいか、瑞稀と橋本くん以外の友達は片手で数えられる程度。
…もはや友達なのかも分からないけど。
そんな自分が嫌で、誰か知り合いでも作れたらと瑞稀には言わずに図書委員に立候補した。
瑞稀に言ったら絶対だめ!って言われるし。
案の定、私が手を挙げた瞬間後ろからは?って声が聞こえてその後すごい顔して問い詰められた。
結局一緒の当番になった後輩くんはちょっと取っ付き難い子で、仲良くなんてなれそうになかったから、瑞稀を放課後まで待たせるだけの結果になってしまったんだ。
「やっぱ帰り待ってるの嫌?」
「ううん、Aの為なら何時間でも待てるよ、勉強も出来るし」
「じゃあどうして?」
「…別に、」
フン、と不機嫌そうに鼻を鳴らして抱きついてきた瑞稀。
茶色の髪が首元に当たって少し擽ったい。
結局、何だったんだろう。
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駆凪 - すごく面白いです!!頑張ってください。 (2022年8月17日 0時) (レス) @page50 id: a1142e8383 (このIDを非表示/違反報告)
まれぴゅま(プロフ) - 瑞 彩 * ((( 低浮上さん» ありがとうございます! (2019年12月10日 21時) (レス) id: 4d2e6b700d (このIDを非表示/違反報告)
瑞 彩 * ((( 低浮上 - 面白いです(^_^) (2019年12月10日 18時) (レス) id: 139e318ce4 (このIDを非表示/違反報告)
まれぴゅま(プロフ) - 黒髪少女さん» ありがとうございます(^^) (2019年11月25日 18時) (レス) id: 4d2e6b700d (このIDを非表示/違反報告)
黒髪少女 - カウントダウンで、なんでも口を割ってしまうとかいい!最高!! (2019年11月25日 17時) (レス) id: 895c331d9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まれぴゅま | 作成日時:2019年11月13日 20時