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初対面からずっと俺にだけバチバチしてて、飼い主を守ろうとする忠犬かのようにけいさんにぺったり。
でもあのルックスだから嫌味言われても憎めないっていうか…
けいさんの言った通り、知念とは意外と音楽やファッションの好みが合って、夏が終わる頃に一緒にフェス参戦したし、飯だってけいさんと行ったことないのに、知念に何回か(情報提供の名に乗って)奢らせた。
UNIONの奴らも、2回しか来てない知念のことめっちゃ可愛がってて、普通に友達が一人増えた感覚。
本人曰く、可愛い物勝ちのチョロい世界に僕達は住んでいる。
チワワ、恐るべし。
「ねぇーけいさんどこ行ったっけ?」
「だから、和菓子屋さんのおばあさんを送ってくるって言ったでしょ!しつこいな」
振り返りもせずにキーボードを打ちながら毒を吐き捨てる。
「和菓子屋のおばあさんか…」
一人暮らしのお年寄りたちに無償でシャンプーやカットをしていることは聞いたことあるけど、まさか送迎付きとは…
それだけじゃない。
昼間商店街が賑わう時間帯や小学校の放課後、忙しいお母さんたちの代わりに学童みたいなこともやってるって、大将が教えてくれた。
だからは商店街のマダムとちびっ子たちに人気なわけか…
なんなんだよけいさんは…
「もう…天使かよ…」
「…キモっ、大貴今の顔超キモ」
「何とでも言え…」
「てかさ、いつまでここいんの?バイトは?」
「午前だけ。UNION今日休みだから」
「うそ、ひかのオムライス食べに行こうと思ってたのに…」
しょうがないな〜じゃあ涼介にご飯奢ってもらおう!って、当たり前のように携帯を出していじり始めた知念、さすがラスボス。
心の中で山田にお疲れ様と一礼をした。
なんとなく知念との会話を続けながらコーちゃんを観察してたら、ようやく会いたい人が目の前に現れた。
チリンッとドアベルが鳴ったのと同時にコーちゃんがパッと起き上がって、“ただいまぁ〜”と入ってきたけいさんのもとに駆け寄る。
「わあ〜コーちゃんの出迎えだぁ〜」
「いのちゃんおかえり、長かったね今日」
「おばあちゃんとコーちゃんの話してたら盛り上がっちゃってね」
「あそこ、長居してるやついるから何とかして」
そう言われるとコーちゃんを抱っこしたまま俺の方に向いた。
やべぇ…天使が天使を抱いてる…
けいさんは嬉しそうに笑ってくれて、「大ちゃん!ちょうど会いたいなって思ったよ!」と。
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yoku(プロフ) - ずみさん» 温かいお言葉をありがとうございます!涙出るほど嬉しいです(;_;)メンバーそれぞれの個性に沿って、言いそうな台詞を考えるのが個人的に楽しいです(笑)いつも亀更新で本当に申し訳ありませんが、これからも楽しんでいただけますように頑張ります:) (2021年6月7日 22時) (レス) id: df50adfb63 (このIDを非表示/違反報告)
ずみ - どんな人物も個性溢れる長編ですし、ストーリーもとても面白いです。読めば読むほど夢中になって、もらい泣きでもする寸前でした。素敵な作品をありがとうございました! (2021年6月5日 23時) (レス) id: 88ff7ddfb4 (このIDを非表示/違反報告)
yoku(プロフ) - みーさん» ま、まさかフォローしてるライターさんからコメント頂けるとは…!とっても励みになります!ありがとうございます!みーさんの作品をいつも拝読させていただいてますのでみーさんも頑張ってください:) (2021年6月4日 23時) (レス) id: d95cf3f703 (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - 切なくて毎回泣きそうになりながら読んでます。素敵なお話をありがとうございます。更新楽しみにしてます。 (2021年6月3日 22時) (レス) id: 163ee9ceaf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yoku | 作成日時:2020年1月5日 0時