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…えっ?!えええ?!
「…僕に…?!」
いいいいま、なんて言ったの?!
「ちょうど今朝トマト食べきったから、今日来てくれないかなーって思ったの!」
……ああ、そっちね。食材配達員としての需要ね。
財布持ってくるねって裏側に消えたけいさんのほうを見て固まった俺は、指差して爆笑してる知念に何の反撃もできなかった。
ペチャっ、ペチャっ…
小さい音を立てながら、一生懸命舌で浅い皿の中の牛乳を舐めてるコーちゃん。
と、それ越しの、棚の前でタオルを畳んでるけいさん。
…なんという美しい絵面なんでしょう…許されるなら写真撮って待ち受けにしたい…
「そんな変態みたいな目でうちのけいさんを見ないでくれる?」
「…すんません」
一人で悶ってたつもりだけどまた知念に嫌がられた。
「にゃう〜…」
「あ、もう飲み干した?いつも速いねコーちゃん」ご飯を食べ終わった猫はけいさんの足元に寄り添って、甘えるように鳴いてる。
「ごめんね、今まだ遊べないの。大ちゃんと遊んで待っててくれる?」
「うぅ…」
けいさんに優しくそう諭されると、本当に俺のほうにゆらゆらと歩いてきた。目が合ったと思ったらぴょんと俺の膝の上に飛び上がってきて、おとなしく丸まった。
「可愛い…!ぬくぬくしてる…」
「そっか、大ちゃんはコーちゃんと初めてだったか」
「そうなの!ずっと気になってたよ、本物の猫いないかって」
「動物苦手なお客さんもいるからね、普段は二階の部屋にいるの。さっき来たおばあさんコーちゃんのこと大好きで、毎回会わせてって言われるんだよねー」
「なるほどー」
背中を撫でると気持ちいいのか、グルルルって鳴き声が聞こえる。
かわいい…俺、今日からもう猫派でいる…!
「…あんまり触ると噛まれるよ。」
「えっ?!」
不貞腐れてそうな知念の一言に驚いてびくっと手を離すと、“ふふっ”とけいさんが笑い出した。
「ないない、その子人懐っこいから噛まないよ」
「何でバラすんだよいのちゃんー面白くないな」
人を弄ぶのも程々にしていただきたいよ、知念さん…
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yoku(プロフ) - ずみさん» 温かいお言葉をありがとうございます!涙出るほど嬉しいです(;_;)メンバーそれぞれの個性に沿って、言いそうな台詞を考えるのが個人的に楽しいです(笑)いつも亀更新で本当に申し訳ありませんが、これからも楽しんでいただけますように頑張ります:) (2021年6月7日 22時) (レス) id: df50adfb63 (このIDを非表示/違反報告)
ずみ - どんな人物も個性溢れる長編ですし、ストーリーもとても面白いです。読めば読むほど夢中になって、もらい泣きでもする寸前でした。素敵な作品をありがとうございました! (2021年6月5日 23時) (レス) id: 88ff7ddfb4 (このIDを非表示/違反報告)
yoku(プロフ) - みーさん» ま、まさかフォローしてるライターさんからコメント頂けるとは…!とっても励みになります!ありがとうございます!みーさんの作品をいつも拝読させていただいてますのでみーさんも頑張ってください:) (2021年6月4日 23時) (レス) id: d95cf3f703 (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - 切なくて毎回泣きそうになりながら読んでます。素敵なお話をありがとうございます。更新楽しみにしてます。 (2021年6月3日 22時) (レス) id: 163ee9ceaf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yoku | 作成日時:2020年1月5日 0時