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「ごめんちょっと酔ってるのかも。忘れて忘れて」
「横尾」
「明日から、また『仲のいい同期』でよろしくね。
気まずいのとか、なしね」
さすがに、これ以上二人でいるのには耐えられなくて、じゃあね、って言って走り出す。
目黒くんが、横尾、って呼んでた気もするけど振り返ることはできなかった。
言うんじゃなかった。
何で思ったんだろう、もしかしたら、なんて。
私は結局「いいやつ」どまりで、誰かの一番にはなれないんだ。
止んでいた雨が、またぽつぽつ降り始め。
あっという間に雨足が強くなる。
下を向いて走っていたら、誰かにどん、ってぶつかって、私は派手に尻もちをついてしまった。
「ごめんなさい。大丈夫ですか?」
出された手が白くてきれいな手だな、と思った。
顔をあげると、ふわふわの茶髪で片耳にピアスをした、白い手に負けずおとらずきれいな顔立ちをした男の人だった。
「だ、大丈夫です。前見てなかった私が悪かったし」
立ち上がって会釈をして行こうとすると。
「待って。びしょ濡れだよ。俺が働いてる店すぐそこだから、とりあえず行こ」
お店?
「でも」
「そんな濡れてたら電車もタクシーも乗れないよ、ほら早く」
尻もちついたから、お尻も当然びしょびしょで、確かにその人の言う通りかもしれない。
後をついていくと、本当に2、3分でその人は足を止めた。
「……美容院?」
「そ。俺、店長なの。雇われだけど。だからタオル貸したりできるし、入って入って」
扉を開けると、中には人がいて振り返った。
「あれー?玉、帰ったんじゃなかったの?」
「宮こそまだいたんだ?濡れネズミ拾った」
濡れネズミ?
私のこと?
ひょいってのぞき込むように私を見ると、優しい声で宮、と呼ばれた人が言った。
「ほんとだ、タオルすぐ持ってくるね」
コートを脱ぐように言われて、すぐに白くてふわふわのタオルを渡される。
「すみません」
「えーと、お名前聞いていい?洋服、クリーニング代出すよ」
「そんなのいただけません!私が悪いのに」
「でもふっ飛ばしちゃったから。俺玉森です、こっちは宮田」
「横尾A、です」
「Aちゃん」
「あ、あの!明日でいいのでここ予約してもいいですか?」
「予約?」
「切りたいんです」
「え?」
「髪、切りたいんです」
玉森さんと宮田さんが顔を見合わせた。
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ニイナ(プロフ) - 桃マスカットさん» 桃マスカットさーん、読んでくださってコメントもありがとうです💓2章も楽しんでもらえたらいいなあ、お時間ある時お待ちしてます☺️目黒くん、書いてて楽しいです😂(私得) (2022年6月17日 23時) (レス) id: 9453ebaee9 (このIDを非表示/違反報告)
桃マスカット(プロフ) - この先の展開もめっちゃ楽しみですー!!目黒くん、いい役ですねぇ😏🖤 (2022年6月11日 23時) (レス) @page41 id: 21ddaf22cf (このIDを非表示/違反報告)
ニイナ(プロフ) - なっちゃんさん» なっちゃんさーん💓お久しぶりです🥰恋愛とか結婚てほんとタイミング大事ですよね✨登場人物に共感してもらえるのめちゃくちゃ嬉しいです、そのお言葉に私がほっこり🥺玉森さんに戻ってきてもらえてよかった!読んでくれてありがとです💓 (2022年6月10日 21時) (レス) id: 9453ebaee9 (このIDを非表示/違反報告)
ニイナ(プロフ) - モナさん» モナさん、玉森さん帰っちゃったわ😂ねー、目黒くんもかっこいいのよ🥺困るわあ(誰が書いてるねん)北山部長素敵よね、こんな上司の下で働きたいー!モナさんまたまた久しぶりだったのにコメントくれてありがとうです✨私もモナさん大好き💓 (2022年6月10日 21時) (レス) id: 9453ebaee9 (このIDを非表示/違反報告)
なっちゃん(プロフ) - つくづくタイミングってあるよなぁと目黒くんの告白見て思いました!ニイナさんの登場人物には共感できる人が多くて、心が温かくなります☆目黒くんの応援したくなりかけたけど、玉ちゃんの「会いたいって言っていいんだよ」で玉ちゃんに戻ってきました☆ (2022年6月8日 21時) (レス) id: 14913c4d63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ニイナ | 作成日時:2022年2月27日 11時