【図書室のキミ〜Call my name〜】-01- ページ13
見慣れたドアを開けると、
いつものテーブルで突っ伏している彼の姿がある。
陽だまりの中にいる彼の姿を見るとどこか温かい気持ちになれるのは。
「ふふ…。」
きっと彼が大好きだから。
気持ち良さそうに眠る彼を起こさないように、
できるだけ音を立てないように隣に座る。
いつかと同じように課題だと言われた問題集を広げた。
あの日と違うことと言えば、
課題の内容が数学じゃなくて英語だということ。
「‥よし。」
彼が起きるまでこれをしていよう。
そう思って、1つ目の問題に手をつけた。
英語は割とできる科目だから、
数学みたいに苦しめられることはない。
特に悩むこともなく、次々解き進めていると。
「英語はできるよね。」
「び、っくりしたぁ…。」
寝てるはずの彼の声いきなり聞こえたからびっくりして、
思わず体を後ろに引いたら、
静かな図書室にｶﾞﾀﾝという椅子の音がうるさいくらいに響いた。
びっくりしている私とは裏腹に彼はいつもと変わらない様子で、
頬杖をついて私の問題集を覗き込んでいる。
「い、いつ起きたの？」
「Aが隣に座ったあたりから。」
「もう最初からじゃん…。」
「本当あなたって人は、集中すると周り見えなくなるね？」
くすっと笑い声を静かに零した彼は、
ｷｭっと意地悪に口角を上げてその琥珀色の瞳に私を映す。
そんな笑顔にもｷｭﾝとしちゃうなんて、
私って二宮くんのこと大好きすぎるんだと思う。
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作者名：和音
| 作成日時：2019年1月27日 13時
