Letter7 ページ7
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ころちゃんとの付き合いは思いのほか順調だったと我ながら思う。
クラス、いや学年公認のカップルとまで言われた。
私は毎日惚気をるぅちゃんに聞かせていた。
貴方の気持ちを無視してしまいごめんなさい。
また次の春が来た時、私はころちゃんとお花見デートしようと誘いました。
実は学校以外で会うのはこれが初めてでした。
私はめちゃくちゃ楽しみにしていました。
もう全ての私の感情はころちゃんに注がれていたと言っても過言ではありません。
好き。大好き。好きすぎてどうしようもなくて。
桜が咲くのを今か今かと待ち続けました。
桜の蕾が私の心を急かすように膨らみ始めた頃でしょうか。
私はまた体調を崩しました。
ころちゃんに言ったら心配されてデートを断られると思って相談はしませんでした。
るぅちゃんにも、同じ理由で言えませんでした。
桜がぼちぼち咲き始めた頃私は激しい吐き気と頭痛に襲われました。
貧血にも見舞われました。
それでも無理して登校していた結果。
...私は馬鹿なのかもしれない。
学校の帰り道。るぅちゃんもころちゃんも一緒に帰れなかった日。
1人でふらりと桜の木の下を歩きました。
"いい香り"
そう思って空気を大量に吸い込んだ私は、そのまま意識を持っていかれたのです。
心の中で、貴方達2人を呼びました。
どこかの王子様のように、私を助けてくれないかと。
すこし夢見がちな部分があったと自覚しています。
でも私の心は貴方達を求めていたのです。
そのまま私は誰かに救急車で運ばれ、次に目を覚ましたのは真っ白い四角い部屋で寝ている時でした。
周りには心配した顔をした両親がいて、私は何事かと思いました。
そして私は極めて規模が少ない希少な病にかかっていたことを知りました。
それはころちゃんと付き合ってまだ3ヶ月しか経ってない頃の話です。
その時医者は私に
「まだ症状は軽いから外出は許可するが、過度な遠出は控えるように」
そう言い放ちました。
私は泣きました。
ころちゃんとの遠出デートが台無しになるじゃんか。
「特に桜の多いところには絶対行かないで。なるべく桜を避けてね」
看護師は優しい口調で追い討ちをかけるようなことを言いました。
この時私は悟らなければならなかった。
お花見デートがころちゃんとの最初で最後の
おでかけになる。って。
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mei - 何年経ってもこの小説が素敵すぎて読みに来てしまいます。3人それぞれの視点で読み返してみるとより深く考えさせられます。1つのお話として本当に素晴らしい作品だと思います。これを元に書籍化して欲しいくらいです。颯桜さんの書く素敵な物語に出会えて良かったです。 (4月1日 3時) (レス) @page49 id: ece57623d6 (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - イチゴジャム・.。*・.。*さん» 素敵なコメントありがとうございます・・・!大変光栄です。 (2022年2月21日 20時) (レス) id: 86b77a05e2 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴジャム・.。*・.。*(プロフ) - 小説、占ツクが好きになったのはこのお話がきっかけです。読んだのは結構前ですが、素敵な作品をどうもありがとう…! (2022年2月20日 12時) (レス) @page49 id: 3017e9e097 (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - 凛月さん» 凛月さん!素敵なコメントをありがとうございます。元から文を書くことが好きで趣味程度に始めた創作ですがこのように誰かの心の中に残るようなものを残せてとても誇らしく思います。これからもどうかよろしくお願いいたします。(私も凛月さんの作品好きです。) (2022年2月8日 0時) (レス) id: 86b77a05e2 (このIDを非表示/違反報告)
凛月(プロフ) - この作品を読んだのは随分と前のことなのに、今でも無性に読みたくなって、何度も戻って来てしまいます。占ツク外も含め、私が今まで読んできた小説全ての中で1番好きな作品です。本当に素敵な作品をありがとうございます。 (2022年2月7日 0時) (レス) @page49 id: 80b1d18970 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:颯桜 | 作成日時:2020年3月1日 20時