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Letter5 ページ5



「A!」

あぁ、恋って不思議。


いつもは彼の優しい声を聞いただけで安心していた。
なのに。

ごめん。るぅちゃんの声が少し嫌だ。

「…ころん、先輩?何やってんですか?」

私を抱きしめるころちゃんの力が強くなった気がした。

放課後の夕日が私たちを刺す。
私は背が小さいから彼にすっぽり包まれて

黄色いサラサラの髪を────

いいや、貴方の黒い笑みを見ることは出来ませんでした。

「…ねぇ、Aを離して?」

「…うるせぇ」

ころちゃんが私にしか聞こえないような小さな声でそう言うなり私の口を塞ぐ。

!?

『…ッ』

長くて、蕩ける、甘い、キス、だった。
最も高校生らしい、優しいキス。




━━━━そして、私の、ファーストキス…

『…え?』



好きな人からの、突然のキスに驚く。


「あっ、、、ごめん」

「ほらA帰るよ」

私はるぅちゃんに無理矢理腕を引っ張られて大好きな君とお別れをする。

その時の彼の顔は見えなかった。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

『るぅちゃん!』

「何!」

ゾワッ。

鳥肌が立つ。

繋がれた手が、痛い。強く引っ張りすぎ。
ほんとに痛い。

繋がれた手を振りほどくことも出来ず、ただひたすらにがむしゃらに走る彼について行くしかなかった。

だんだんと私の呼吸が乱れ始める。
彼は気づかない。足は止まるどころか速さを増す。

まるで、何かから────────

ころちゃんから、逃げるように。

るぅちゃんのこの行動が嫉妬から来るものであったという事は当時の私は鈍感すぎて分かりませんでした。



それから暫くすると私の呼吸は乱れるというよりかは狂い始めた気がした。




ねぇ止まって!私、苦しい…!



息の根が止まりそうな、生きてて感じたことのないのほどの危機感が迫る。


冷や汗が止まらない。



『るぅちゃ…』




弱すぎる声。
勿論貴方には届かない。




次の瞬間私の視界はぐるりと回転を始め、その場にずさりと崩れ落ちた、気がした。



曖昧な朦朧とした記憶の中、貴方の顔が見えました。声が聞こえました。

…私の大好きな、安心する声。

なのにそれは矛盾していて。

…さっきは痛いほど憎かった貴方の声が。


「A!?」

るぅちゃんは私を抱き締めてくれたんだと思う。

次にハッキリ世界を見た時はいつもの彼に戻っていた。

『大丈夫、ただの貧血』


ほんとにその時私はそう思っていた。

でも実はこれは病の初期症状でした。

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作品ジャンル:恋愛
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mei - 何年経ってもこの小説が素敵すぎて読みに来てしまいます。3人それぞれの視点で読み返してみるとより深く考えさせられます。1つのお話として本当に素晴らしい作品だと思います。これを元に書籍化して欲しいくらいです。颯桜さんの書く素敵な物語に出会えて良かったです。 (4月1日 3時) (レス) @page49 id: ece57623d6 (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - イチゴジャム・.。*・.。*さん» 素敵なコメントありがとうございます・・・!大変光栄です。 (2022年2月21日 20時) (レス) id: 86b77a05e2 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴジャム・.。*・.。*(プロフ) - 小説、占ツクが好きになったのはこのお話がきっかけです。読んだのは結構前ですが、素敵な作品をどうもありがとう…! (2022年2月20日 12時) (レス) @page49 id: 3017e9e097 (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - 凛月さん» 凛月さん!素敵なコメントをありがとうございます。元から文を書くことが好きで趣味程度に始めた創作ですがこのように誰かの心の中に残るようなものを残せてとても誇らしく思います。これからもどうかよろしくお願いいたします。(私も凛月さんの作品好きです。) (2022年2月8日 0時) (レス) id: 86b77a05e2 (このIDを非表示/違反報告)
凛月(プロフ) - この作品を読んだのは随分と前のことなのに、今でも無性に読みたくなって、何度も戻って来てしまいます。占ツク外も含め、私が今まで読んできた小説全ての中で1番好きな作品です。本当に素敵な作品をありがとうございます。 (2022年2月7日 0時) (レス) @page49 id: 80b1d18970 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:颯桜 | 作成日時:2020年3月1日 20時

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