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Letter25 ページ25



あれからずっと、私はころちゃんにばったり出会ってしまったことを後悔していた。

『…あんな酷い別れ方したクセにまだ私ってば』


"好き"


心のどこかではまだ恋心を持っていることにショックを受けた。

でも、ころちゃんが私の知らない世界で上手くやってる事に安堵した。


スマホを開き、通知を確認する。



"今日もしかしてあの通りにいた?"


なんてころちゃんからのメッセージがある訳無いんだから。

連絡先は消せなかったの。
消すべきでないと思った。



私は死ぬ前にちゃんところちゃんにも病気を告げないと、と思っていた。


私の頭の中ではもうそれは残酷なまでに鮮明な形として、自分の死ぬ姿が想像ができていた。

死に方を決めていた私はただひたすらに黙々と遺書という名の手紙を執筆していた。



普段手紙なんか書かない私を見てるぅちゃんは何度も何度も声を掛けてくれた。


何の手紙?誰へ?まさかころちゃん?


あながち間違ってない彼の言葉。


ころちゃんと、るぅちゃん宛の手紙だから……


私はまだ遺書の存在を隠していたかった。


だから、曖昧な言葉を返してしまうの。


まるで嘘を嘘で偽るように。


それは余計るぅちゃんを心配させる。

悩ませる。

苦しませる。


"お願い、正直に言って?"


彼は泣きそうな目で私を抱きしめた。



"それは、ころちゃんへの手紙?"



私はただ首を横に振るしかできなかった。



「僕は誰よりもAのこと好きだよ」



……守るよ。Aのこと。




『……私、るぅちゃんみたく長く生きれないのに?』




あーあ。私ってば性格ほんとに悪い。


るぅちゃんが私を守れないことなんて知ってるよ。

でもその言葉が嬉しかったんじゃん。

なのにどうして私はここまでひねくれてるのか。


「………」


ほら見ろ。彼を困らせた。私の我儘で。

私なんか誰と付き合ったって誰と結婚したって結局相手を散々に痛めつけて自分は勝手に死ぬだけじゃん。


なんて自己中心的。


「A」


チュッ。


長かった。苦しかった。


『るぅちゃ……!』


口を開けばまってましたといわんばかりに彼の舌が侵入してくる。

「Aは1人じゃないよ。僕がいるよ」



『……うん』



私はこうやって態度で愛を示して貰わないと自分がとても不安で不安で仕方が無くなっていた。


日本の秋なんてあっという間。



もうすぐ寂しい寂しい冬が、やってくる。

─────私の死まで、X日。

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作品ジャンル:恋愛
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mei - 何年経ってもこの小説が素敵すぎて読みに来てしまいます。3人それぞれの視点で読み返してみるとより深く考えさせられます。1つのお話として本当に素晴らしい作品だと思います。これを元に書籍化して欲しいくらいです。颯桜さんの書く素敵な物語に出会えて良かったです。 (4月1日 3時) (レス) @page49 id: ece57623d6 (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - イチゴジャム・.。*・.。*さん» 素敵なコメントありがとうございます・・・!大変光栄です。 (2022年2月21日 20時) (レス) id: 86b77a05e2 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴジャム・.。*・.。*(プロフ) - 小説、占ツクが好きになったのはこのお話がきっかけです。読んだのは結構前ですが、素敵な作品をどうもありがとう…! (2022年2月20日 12時) (レス) @page49 id: 3017e9e097 (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - 凛月さん» 凛月さん!素敵なコメントをありがとうございます。元から文を書くことが好きで趣味程度に始めた創作ですがこのように誰かの心の中に残るようなものを残せてとても誇らしく思います。これからもどうかよろしくお願いいたします。(私も凛月さんの作品好きです。) (2022年2月8日 0時) (レス) id: 86b77a05e2 (このIDを非表示/違反報告)
凛月(プロフ) - この作品を読んだのは随分と前のことなのに、今でも無性に読みたくなって、何度も戻って来てしまいます。占ツク外も含め、私が今まで読んできた小説全ての中で1番好きな作品です。本当に素敵な作品をありがとうございます。 (2022年2月7日 0時) (レス) @page49 id: 80b1d18970 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:颯桜 | 作成日時:2020年3月1日 20時

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