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Letter17 ページ17



「ころちゃんを忘れる為に利用してもいいですよ」

……ごめんね。


「結婚してくれませんか…?」


……ごめんね。




─────────────汚い女で。




私はそのまま頷いてしまった。
指にはとても酷く輝いた指輪が光っていた。


…黄色。彼の瞳に似た黄色い指輪。


『…綺麗』


───────私とは違って。





その日私は生きた心地がしないままその日はちゃんと
ころちゃんと同居する家に帰った。


この家に戻るのもあと何回かな。


「おかえり〜!」


ダメだ。
今はころちゃんの顔見たくない、見れない。


またイライラし始める。


イライラの原因が今ならはっきりわかった。


…私のせい。


『ごめっ』


「A!?」

走って階段を駆け登り、ベットに飛び込む。


ころちゃんの匂い。
家の全てがころちゃんで溢れ返っている。


私はもうすぐるぅとくんの元へ逃げる。

そしたらこの苦しみからも逃れられるのかな。
病気を隠す理由もなくなるし…。


彼から貰った指輪と、ころちゃんから貰ったネックレスをテーブルに置く。

青と黄色の光。

2つは酷くぐちゃぐちゃに混ざりに混ざって私の頭を混乱させる。


やがてその光はひとつになり、桜になる。


そしてそれは、そのまま私の身を襲う。




……ハッ!

気づいたら私は寝ていたみたい。

強いに西日が無防備に空いた部屋を照り付ける。


コンコン。

ノックオンが聞こえれば彼の声がする。

「起きてる?」


あぁこのまま永遠に眠ってしまいたかった。

そしたら…


ころちゃんとの思い出は美しいままで終わったのに。



「……え、何?その指輪」


「僕があげたネックレスも捨てられてるし」



ぐるぐる。ぐるぐる。



「ねぇ答えて」



ぐちゃぐちゃ。


「浮気なの?」




ガッシャーン!




『…っ、あ』


気づいたら私は近くにあったペンの入ったコップを彼に向かって投げていた。


分からない。どうして私がこうなってしまったのか。


次から次に近くにあるものを投げつける。


「おい、1回落ち着けって!」

私の耳は聞くことを知らない。

もう聞こえないの。貴方の声が。


物がだんだん私の周りから消えて、ころちゃんの足元に溜まっていく。


ねぇなんで反抗してこないの?!

ころちゃん怒ってよ!追い出してよ私を!



最後に手に取った、ころちゃんとの、写真。


…どうして写真の中の私はこんなに笑っているの?

…なんで今の私は泣いているの?

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作品ジャンル:恋愛
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mei - 何年経ってもこの小説が素敵すぎて読みに来てしまいます。3人それぞれの視点で読み返してみるとより深く考えさせられます。1つのお話として本当に素晴らしい作品だと思います。これを元に書籍化して欲しいくらいです。颯桜さんの書く素敵な物語に出会えて良かったです。 (4月1日 3時) (レス) @page49 id: ece57623d6 (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - イチゴジャム・.。*・.。*さん» 素敵なコメントありがとうございます・・・!大変光栄です。 (2022年2月21日 20時) (レス) id: 86b77a05e2 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴジャム・.。*・.。*(プロフ) - 小説、占ツクが好きになったのはこのお話がきっかけです。読んだのは結構前ですが、素敵な作品をどうもありがとう…! (2022年2月20日 12時) (レス) @page49 id: 3017e9e097 (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - 凛月さん» 凛月さん!素敵なコメントをありがとうございます。元から文を書くことが好きで趣味程度に始めた創作ですがこのように誰かの心の中に残るようなものを残せてとても誇らしく思います。これからもどうかよろしくお願いいたします。(私も凛月さんの作品好きです。) (2022年2月8日 0時) (レス) id: 86b77a05e2 (このIDを非表示/違反報告)
凛月(プロフ) - この作品を読んだのは随分と前のことなのに、今でも無性に読みたくなって、何度も戻って来てしまいます。占ツク外も含め、私が今まで読んできた小説全ての中で1番好きな作品です。本当に素敵な作品をありがとうございます。 (2022年2月7日 0時) (レス) @page49 id: 80b1d18970 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:颯桜 | 作成日時:2020年3月1日 20時

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