恋レシピ〜How to make LOVE?〜No.5

星のない夜空 ページ27

「いえ、そちらは……彼女さんですか？お似合いだなぁ」




Aちゃんに視線を向けて、男は小さく頭を下げた。


だけど、彼女は相変わらず固まったまま……




玉「Aちゃん…大丈夫？」




明らかに様子がオカシイ彼女の腕に触れると、ビクッとして俺のことを見上げた。




玉「え………？」




青ざめた顔で、唇が小刻みに震えて……。


尋常じゃない様子に違和感を覚え、どうしたの、と問い掛けようとした時だった。




A「ごめんなさ……帰る……っ……」




Aちゃんは逃げるようにして、この場から居なくなってしまって。


呆然とした俺に、涼さんが追いかけろと言った。




玉「……でも」




ﾘｮｳ「そういうとこだよ、裕君のダメなとこ！ごちゃごちゃ考えないで早く追いかけなさい！！」




何故か怒られると、ようやく足が動き出した。


この際だから、人目も気にせずに店内をすり抜けて外に出る。


向かい側と左右の道を確認するけど……いない。


すぐに出て来たつもりだったのに、もはや影さえも消え去った後だった。




……俺が涼さんのとこに行こうなんて言ったから？





誘わなければ、きっと今ごろ二人でご飯を食べていた。


美味しいね、って本当なら笑い合っていた筈なのに……。


ついさっきまで彼女が隣に居たのが夢だったみたいに思えて。


どうしようもなく寂しく感じて、空を見上げた。


星ひとつ見えない夜空は、やけに黒々としていて……


それはまるで、俺の心にも闇を落としていくようにも感じた。

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