恋レシピ〜How to make LOVE?〜No.5

礼儀正しい弟くん ページ23

大通りで止めてもらって、入り組んだ路地を少し行くと、ひっそりとした看板が目に飛び込んできた。




玉「ここが知り合いのとこ」




雰囲気的にこのまま入っても大丈夫そうだけど、彼は芸能人だから。


点々とあるだけの外灯の明かりを頼りに、薄暗い裏口の方へ回ると、玉森君は携帯を取り出した。




玉「着いたよ！開けてー！！」




甘えた口調が耳について、相手は女の人なのかどうか気になってしまう。


そういう関係じゃないのに図々しい……。




闇に慣れた目が、小さな光が現れたのをすぐに見つけると、眩しくて目を細めた。


裏口から手招きをするのは、同世代くらいの男の人。


逆光のせいで、顔はよく見えない。




玉「友輔〜ごめん、急に」




友「いいよ、空いてたし。って……涼以外の女連れ？」




玉「一言多いよ、お前は」




涼さんも知ってる人……？




友「ハハッ……どうぞ」




どこかで聞いたことのある、声。




食い入るように目の前の彼を見つめていると、玉森君が言った。




玉「あ、ガヤの弟の友輔。似てるっしょ？」




……え。




A「弟っ？！」




友「弟の友輔です、兄がお世話になってます」




深々と頭を下げて、ゆっくりと上げた彼の顔にふっと光が射し込んだ。


なるほど、と思える端正な顔立ちが微笑んでいる。



……本当だ、よく似てる。




お兄ちゃんと違ってすごく礼儀正しいじゃないの、なんて思ってしまった。

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