恋レシピ〜How to make LOVE?〜No.5

買い替え時のドレス ページ13

Aside



いよいよ一週間後に迫った涼さんの結婚式。


もう間近だというのに、すっかり忘れてた。




A「これじゃ、ちょーっとねぇ……」




クローゼットの奥底に眠っていた、年代物の地味なパーティードレス。


二十歳に初めて買ってから、一度も買い直していない。


頻繁に着るものじゃないから勿体ないと、今まであったおめでたい席で着続けてきたけど……


ヨレヨレだし、何となく色褪せてる気もする。


いつだったか……


友達の結婚式で、カラフルでキュートなパーティードレスに身を包んだ女の子たちを見て、惨めになったのを思い出した。




A「よしっ……買い替えるか！」




あんなのを着て、玉森君の前に立てないもん。


きっとドレスアップした彼は、女の私よりも格別に輝いてるに決まってる。


分かってるけど、最初から諦めるよりも、少しでも綺麗な姿で玉森君の隣を歩きたい……！




女の私が疼きだして、早速ネットで物色をしてみる。


だけど、いまいちピンとこない。


質感だとかは手に取らないとわからないし、サイズは試着してみないと不安だ。




やっぱり、お店に足を運ばなきゃ駄目かぁ……。




A「……付き合ってくんないかな」




図々しくも、そんなことを思った。


買い物に付き合って、とお願いしたら……


いいよって言ってくれる……？




微かな期待を胸に、彼と初めてコンタクトをとる為に携帯を手にした。


スクロールで名前を出すと、それだけで胸が高鳴る。


発信をするか、しないか……。


たぶん、30分は迷っていたと思う。




A「なにやってんだろ……こんな中学生みたいなこと」




いい加減やめようと思って、テーブルに置こうとした時。


ゆっ、指が……！


親指が無意識にボタンに触れて、発信しちゃっていた。


ヤバイ、切らなきゃ、と焦ったけど……


この際覚悟を決めて、携帯を耳に当てる。


そして……呼吸を整えながら、瞼をそっと閉じた。

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