恋レシピ〜How to make LOVE?〜No.11

お出迎え ページ6

姜さんは真っ直ぐとどこかを見ながら、ゆっくりと低い声でひそめるように言った。




姜「……A、頑張れよ」




えっ？？今Aって言った？


夫婦ごっこは実家に着いてからでしょ！って思ったのと同時に。


すぐ目の前に仕立てのいいスーツを身に付けたダンディなおじさまが手を振っていた。





姜「A……、親父だ。アボジ…Aイムニダ」




遺伝子ってものに感心する暇も与えず、目尻のシワを深くさせながら手を差し出した。


優しそうなお父さんじゃん……


どっかの社長さんなだけあって、ピシッとしてるし。


掌を握りながら、ばりばり日本語で言った。




A「えーと、あの、Aです、よろしくお願いします」




韓国語NGだって伝えててもらってるからか、ニコニコ顔でウンウンってされて一安心。


でへへってだらしなく頬を緩めると、姜さんにジロリと睨まれた。




必要最低限家族の事を知っとかないとダメだって、みっちりと書かれたメモを飛行機の中で渡されたのを思い出した。




一、お父さんはかなりのくせ者である。




経営者スマイルで相手を油断させといて、一気に締め上げるのが手らしい。


あ、あぶない……まんまとハマるとこだった…。




姜「Aはただ笑ってるだけでいいから。他はなんもするな」




アボジさんが日本語の分からないのをいいことに、堂々とそんなことを言う。


冷や冷やしながら、分かりましたの代わりにニコッとした。




停めてあるという場所に行くと、黒光りした高級車がでーんっと目立ってる。




A「……運転手付き！まじですか…！」




思わず口に出た言葉に、姜さんは呆れたように息をついた。

収録終わり→←いざ、韓国へ。

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