恋レシピ〜How to make LOVE?〜No.11

助けてあげられる存在 ページ33

紫苑(ここは乗り換えの駅で…こっから遊園地まで一本で……)




玉「そこに居ろよ、今行くから」




紫苑(こっちは大丈夫だから…)




玉「…大丈夫って」




紫苑(俺は家までの道のりは分かるから。問題はAだよ…きっと怖がってる)




玉「……電話した？」




紫苑(したけど繋がんなくて……)




玉「とにかく家まで帰れんならすぐ帰れ。後は俺に任せろよ」




か弱い声で頷いたのを確認して、大丈夫だからって優しく囁く。


たぶん、紫苑だって不安なはずだから。


それなのに自分のことよりAちゃんのことを気遣うのは、ちっちゃいけど立派な男なんだ。


女の子を守らなきゃって意識は、幼いころから存在するんだって思った。




玉「……Aちゃん、どこにいんだよ」




って言っても俺も全くもって初めての土地だし。


自分まで迷っちゃ一大事だな。


まぁ、ホテルの住所は分かってるから迷うってことはないか。


スマホを駆使して、メールで届いた紫苑の家の住所近くの駅と遊園地まで繋ぐ地下鉄を調べる。




玉「うわっ……こんなあんのかよ」




全部で軽く十五駅はある。


紫苑の話によると乗り換え駅ではぐれたみたいだから……




玉「途中で降りてるか……終点まで乗ってるか」




こんなの、賭けで動くしかない。


俺だったらどうすんだろう……


俺なら、どこ行くか分かんないのに最後まで乗ってるなんてしないかな。


とんでもない田舎町に着いちゃったりしたら、今日帰れんのかって感じだし。




玉「……行くしかないか」




──きっと、怖がってる。


紫苑の言葉が俺を突き動かす。


俺が……彼女を助けるんだ。


ガヤじゃなくて、俺だけが彼女を助けてあげられる存在なんだから。

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