子犬のワルツ ◯ Ninomiya.K

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《 N 》





この子はアレだ

オレをきゅんきゅんさせる天才だ





心臓の下を

ぎゅうって握りつぶされそうになりながら



そうはさせまいとゆっくり息を吐く



そんなオレをキョトンとした顔して見てるから

なんかすげぇ恥ずかしくて

Aちゃんを包んでいた手を離し

そのままハンドルを握った





和也「送るよ」


『え？』


和也「家まで送る。…や、送らせてください」





なんだこれ

なんだこれ





さっきまで泣いてたくせにあっという間に形勢逆転



クスクス笑って『お願いします』って呟くから



なんかもうね

ワタシがワタシらしくなくて

手汗が半端ないわけですよ





ゆっくり動き出した車

カーステレオから流れる音楽

助手席にはちんまりおさまるAちゃん





”好き”とかそういうのは置いといて

こういう時間もいいなって思った



誰かが隣にいて

その誰かがAちゃんで



なんかすげぇいいなって

しっくりくんなって





だから





和也「Aちゃん」


『はい』


和也「ちょっと連絡先教えてよ。今度ご飯食べに行こうよ」


『………。』


和也「今日は…ちょっともう時間が時間だからさ。だから日を改めて」





信号待ちで何も言わないAちゃんを見たら

すっげぇ困った顔してて




だから「いや？」って聞いたのに

小さく首を横にふって





『嬉しいです…けど、下心代表(笑)』





って眉尻を下げて笑った

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