１５０：初めての気持ち 〜S〜 ページ25
どこかに放置した携帯が鳴り響いてる。
タイマーが切れて止まったエアコンに、寝苦しくて夜中に目が覚めて再度リモコンでスイッチを押した。
タイマー設定してなかったらしくて、部屋は少し冷んやりしている。
正直まだ疲れが抜けない身体は起きれなくて、薄っすら目だけ開けてAを探す。
あ、いた…。
Aも寒いのか、薄い肌掛け布団に包まり丸くなって寝ている。
かぁいいなぁ。
その姿に思わず笑みがこぼれ、ズルズルと怠い身体を移動させてAを俺の腕で包み込む。
このまま、もう一回寝よ…。
Aあったけぇし。
まだ、携帯鳴ってやがる…。
しつけぇ奴だな。
「ん〜…。」
Aも携帯の音で起きたのか眉間にシワを寄せる。
「A？起きたの？」
エアコンの所為か声が掠れてる。
「ん〜…。」
まだ、眠いのか俺に擦り寄ってピタッとくっつく。
昨日は俺も疲れてたし、そんなに無理させなかったと思うんだけどな。
「翔くん？」
「ん？」
「まだ、寝るからギュ。」
「はいはい。その前に俺も布団に入れて？」
少し布団を捲ったAが俺の身体にかけてくれて、素肌同士をくっつける。
「ふふふ。幸せ。」
って言って微笑むAの額にキスを落として腕に力を込める。
「俺も幸せ。」
てか！！携帯うっせぇし！！
「A？ちょっと待ってて？携帯電源落としてくるから。」
「うん。」
おそらくリビングのどっかにあるであろう携帯の電源を落とす為、ベッドから出てリビングに向かう。
音の鳴る方目掛けて歩くと、ソファの上に無造作に置かれた携帯。
ディスプレイを見てため息。
すっかり忘れてた…
てか、今何時間だ？
部屋の時計を見ると既に１０時。
「うっせぇよ！朝っぱらからかけてくんじゃねぇよ！」
ーお前なぁ。集合時間は１０時ってメールしただろうが。
裕太も若干キレ気味…。
「俺は疲れてんだよ！１２時頃行くから。Aまだ寝てんし。」
ー疲れるくらい夕べシタのかよ！
「ちげぇよ。昨日旅行から帰って来たんだよ。」
ーとにかく、早めに来いよ！
キレた裕太が一方的に電話を切った。
そのまま携帯をソファに投げ捨て、Aの待つベッドに戻る。
案の定、Aは二度寝。
俺も布団の中に入ってAを抱きしめる。
そうすると無意識だろうけど俺に擦り寄ってくる。
ったく、寝てても無意識に俺を煽るんだもんな。
Aと付き合って初めて、俺は愛おしいって気持ちを知ったんだ。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年6月21日 14時
