Another Story ページ48
キタヤマ、という男が
事故に遭ったその日。
彼はここにやってきた。
あれだけの事故…
“偶然”助かった。
“偶然”半年程度で治る傷だった。
いや、“偶然”ではなかった。
“あの事故で、死んでしまう。”
その事実を、神様はひん曲げた。
“必然”を“偶然”に変えて
彼を助ける手を打った。
それと同時に
ある作戦を決行することになる。
キタヤマに希望を持たせること、だ。
未来でも見に行く？
そんな、急に思い立ったような言動でさえ
神様の計算内によるものである。
その結果
キタヤマは希望を取り戻した。
メンバーの幸せを願い
自分に関わるすべての者に
感謝の気持ちを持って
元の場所に戻っていった。
.
.
.
そして、現在。
「あ〜！！見てみぃ！！キタヤマ、受け取ってくれてる〜！気づいてくれてる〜！！」
「なんですか〜？もう………っあ！！！
神様！勝手に使わないで！って、言ったのに…」
「メンゴメンゴ(笑)許してちょんまげ〜♪」
「……はぁ。」
何やら、怒られている様子の神様の見つめるモニターには
キタヤマが映っている。
「………神様。」
「なんや〜？」
「本当のこと、言わなくていいんですか？」
「ええやん。幸せが、始まるんやから。」
「でも……」
「義理人情は大切に。
見返りは求めたらあかん。それに……ほら。」
キタヤマは
神様が送ったメッセージカードを
優しく指でなぞって
泣を必死に堪えて笑っている。
その姿を見て
神様は
幸せな気持ちになる、と言った。
「……神様。キタヤマは、とてもいい人なんですね。」
「あぁ…そりゃ、部屋で毎日見守ってたら、なぁ(笑)
んも〜、史上最高にええやつやと思うわ〜♪」
.
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作者名：ちぇりリン
| 作成日時：2015年7月22日 3時
