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「………北山の、バカ。」
目覚めた俺に
暴言を吐いたのは
他でもない、藤ヶ谷だった。
「…………どれだけ、待たせんだよ………
…最年長だろ？俺の、シンメだろ……？」
「……ごめんな。」
手を伸ばせば届く距離にいる藤ヶ谷が
死にかけてた自分よりも
壊れそうに、見えたから。
「っ……！！なに、すんだよ………」
「え？いや………何となく？」
藤ヶ谷をぎゅっと、抱きしめた。
いつかの藤ヶ谷が
俺を慰めてくれたみたいに、
「ありがとう」と「ごめん」の気持ちを
目一杯込めて。
「……皆、事務所に、報告しに行こっか。」
何かを察してくれたのか、
俺たちを2人っきりにしてくれた横尾さんは
ほんとに気の利く人だと思う。
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「そろそろ離せ……暑苦しい。」
「あ、ごめん。」
恋人だった藤ヶ谷だったら、
逆に暑苦しいぐらいに抱きしめてくるのに、ね。
些細なことで
“終わったこと”と“願いが叶ったこと”を実感する。
「……今まで、なら。」
離れていった体に
少し寂しさを感じていると
唐突に話し始めた藤ヶ谷。
「北山のことなんか、絶対……
ただのライバル、とか。
ただのメンバーとか。
ただのチビ、とか。
ただの…………北山だとしか、思えなかった。」
ただの、ライバル…
メンバー、チビ………チビ！？
それに、ただの北山って……………
「おい。……ちょっと待て。いろいろツッコみたいところがあるんだけど？」
「…んだよ。」
「まず、“ただの”って酷くね！？しかもチビ言うな！！それタブーだろ！
ってか、ただの北山ってなんだよ！！
え、なに。俺ってそんなに存在感なかったの？十数年シンメなのに！？」
「…今までは！！って言ってるだろ。ちゃんと聞け！！」
「………ごめんなさい。」
って、なんで俺が謝ってんの？
……もうっ。
調子、狂う。
…でも、そんな藤ヶ谷が好き、だった。
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作者名：ちぇりリン
| 作成日時：2015年7月22日 3時
