未来でも、見に行こうか。-藤北- (ページ27)

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「……ほんと、一瞬…だな。」

目の前に広がる、

不思議な世界。

真っ白で寂しい病室とは違った

侘しさと、寂しさ。

　

「転送完了。ガイダンス、終了シマス♪オ疲レ様デシタ。」

　

萌えキャラの声も

改めて聞くとなんだか不変的で

色がないように思ってしまう。

　

「………この世界は、しょーもないか？」

「……しょーもない……ってわけではないけど。」

　

ずらーっと並ぶ機械は

地面の不思議な色には

調和しきってなくて。

そんな世界には、

神様みたいなへんてこな物がいっぱい溢れてて

俺みたいなやつは、1人しかいない。

　

「正直に言うと…早く、戻りたいな。って思う。」

　
だって、さ。

この生活が、5か月近く続くんだろ？

それはちょっと、精神的に滅入っちゃうと思うんだ。
　
　

ま、無理なんだろうけど。

そんなことを考えて

大きくため息をついたとき

　

　

「はぁ～……わかったわかった。」

「…え？」

　

　

神様は

おもむろにふわふわ浮きだして、語りだす。

　

　

「…キタヤマに、生きる希望を持たせるのが

　本来の目的やからな。うん。大丈夫やろ。

　ほんまは、もうちょっとだけおってもらう予定やったけど。」

「…神様？」

　

　

　

　

「そろそろ、戻ってええよ。」

　

　

　

表情はなおのこと、変わらない。

目の前のへんてこな神様が、何を考えてるのか、わからない。

ただ、優しい声色で

「よう頑張った。もとの場所に、戻ってもええよ。」って言った。