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「北山さんが……」
「え………………？」
玉は、その時間、
撮影だったんだね。
撮影の合間に、びっくりさせてごめん。
でも、急な出来事が起こっても
こなすべき仕事はこなす。そんな玉を見て、すごいな。と思ったよ。
「北山さん、大丈夫ですよね…。」
「大丈夫。絶対、大丈夫。」
涙目のマネージャーさんに、
涙を耐えながら、何度も大丈夫。って繰り返す立派な弟に、
感動した。
.
「北山っ…北山っ………！！」
“手術中”のランプを見ながら
うわ言のように、俺の名前を呟く藤ヶ谷。
……映像、の中だった。
映像の中、だけど
俺は泣いてる藤ヶ谷を、ぎゅっと抱きしめたくなった。
……実際、抱きしめることなんて…
この体だから、無理なんだけどね(笑)
俺は大丈夫だよ。
って。
もちろん、
伝わってるわけがない。
知ってるよ。
相手は、映像の中の、
実物ではない、藤ヶ谷なんだって。
でも、放っておけないんだよ。
好きだから。
「大丈夫。大丈夫。遅かれ早かれ、絶対に…
戻るんだから。」
最後に、藤ヶ谷を抱きしめる素振りだけ。
これぐらい、大丈夫だよね？
「藤ヶ谷、待ってて…もうちょっとしたら、戻るから。」
泣いてる藤ヶ谷に、そういった瞬間に、
「……っ！？」
「…どうやった？」
さっきの、病室に戻った。
目の前には神様と、
「ミツっ………！！！もう、いたずらやめるから、早く目ぇ覚ましてよっ…！」
「宏光っ……目、覚まさないと…毎日ここ来て、チビチビ、連呼するぞっ……」
さっきの、明るい表情が嘘のように
泣き崩れる、2人の姿があった。
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作者名：ちぇりリン
| 作成日時：2015年7月22日 3時
