遠回りの恋

恋・10 ページ10

…




えっと…




「どうしたの？」




何でいるの？




藤ヶ谷君…




「いや… 全然 来ないから… 」



来ないからって来る？普通…



「もしかして、ずっと片付けしてたの？」


「ああ、それが安くする条件だったからさ」



！！！！



「卓ちゃん 余計なこと言わなくていい！！」


「え… ？」




…





…




「どういうこと？」




…




「知らなかったの？今日の飲み代コイツのバイト料が大半だよ。ここ数日、仕込み手伝ってくれてさ」


「卓ちゃん！！」



もう！！



「違うよ、そんなわけないじゃん！私が払えるわけないでしょうに！こんなに」


「もう、ちょっと手伝っただけで大袈裟だな〜！！」



やだ…



そんな怖い顔しないで…



「あの、おいくらですか？」


「藤ヶ谷君！！違うったら！！」



出そうとしてる財布を押さえた。



…



「俺、そんなこと頼んでないよ」



…



「わかってる… そうだよね、ごめん」


「違うんだよ」



え？



「おじさん！！」


「卓、余計なことを言わない… ごめんね 藤ヶ谷君… 実は、Aはね、うちの奥さんやバイト君たちを休ませる為に頑張ってくれたんだよ」



言わなくていい…



「え？」


「こういう商売してるとさ、なかなか休みをあげれなくてね… そんな時、Aから提案があったんだよ」


「『 私が手伝ってあげる！都ちゃんたちお休みさせてあげて！ 』ってね」



いいのに…



「それに乗ってしまったのが私たちなんだ… Aは悪くないんだ」


「悪かったね、A… だからケンカなんかしないでくれ」



…



「藤ヶ谷君、代金はいらないよ、これはAの優しい気持ちの代金だから」



…



「高野… 」


「やだな… 私 そんな優しくないよ」



そんな目で見ないで…



「あ〜あ、Aが泣く〜！」


「うっさい！！卓ちゃんのバカ！！」



もう 見られたくないのにーー！！



「帰る！！」


「高野！！」



パシッ。



「何よ！！これ！！離してよ！！」


「ダメ」



！！！



「またダメ！？何なのよ！！離して！！」



ブンブンと掴んでる腕を振った。



でも、またしてもしっかり握ったまま離してくれない。



「もう！わかったわよ！逃げないから離して！！」


「逃げない？」




… こくん。




素直に頷くと力が緩まり 解放された…




…




「… 送る」




…




藤ヶ谷君は、私のカバンを持つと店を出て行った。

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