遠回りの恋

恋・T-2 ページ48

バタン。



「Aさ〜ん、藤ヶ谷さんが買いに行ってくれましたー！」


「で、玉ちゃんさん来店で〜す！！」



ら、来店！？



「あ、間違えた！来てくれました〜！」


「玉ちゃん、いらっしゃい」



Aがキッチンから手をフリフリ。


俺も手を振り、靴を脱ぐ。


そして いい匂いが漂うリビングに入って行った。



「今日は何？おわっ！！ローストビーフじゃん！！俺、超好き！！」


「ふふふっ、玉ちゃんが好きだと思って頑張ったよ」



お肉好きには たまらん一品！！



「うわぁ！！早く食いてぇ！！」


「まだダメです！藤ヶ谷さんが戻ってからです！」



ピシャリと言われた一言に、ビビった 俺。


そそくさと、Aのいるキッチンへ避難。



「ねぇ、み… みつは？」


「みっくんは もう実家に帰ったって、残念だね」



嘘っ…



「呼ばれたの俺だけ？」


「天野さんいるでしょう？」



だって…



「おい、何してんだ」


「へ？」



グイッ…



「うげっ！？」


「俺のAに近づきすぎ！！」



出た…



超… ヤキモチ大魔王。



「もう！首根っこ掴まないで！！」



パシッとガヤの手を振り払った。


ガヤは、ツーンとしてAに抱きついた。


いちゃいちゃビーム出まくりの２人に当てられたのでリビングに戻った。



いいなぁ…



俺もいちゃいちゃしたい。



実は、クリスマスにフラれた。



原因は、この腕。



痛いわけじゃなかったんだけど、『触るな！』って言ったら… ケンカになってそのまま別れた。



クリぼっちだったのは、この冬が初めてだった。



「だって… なんか触られたくなかったんだよな… 」


「さっきもさすってましたけど、まだ痛いんですか？」



え… ？



ふわっ… なでなで…



「この辺？」


…



撫でてる…



俺の腕を…



「痛いの痛いの飛んでけー！どうです？」


「ああ… 大丈夫」




…




なぜだろう…




痛くない…




「はーい！出来たよ〜！」


「あ！出来たって！きゃほ〜！！」



天野さんが触れた部分が熱かった。



「そっか… 俺… 」



…




この子かもしれない…




「玉ちゃんさん！美味しそうですよ！！食べましょう！！」




この子だ…




間違いない…




…




その後、ドキドキしながら 楽しい食事。




天野さんは、とても気さくな子で 話しててすごく楽しかった。




でも、楽しい時間はすぐに終わってしまう…




終らせたくない…

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