遠回りの恋

恋・F-4 ページ39

わなわなと手が震える…



真っ赤で嬉しそうな Aの姿に…



むぅ〜〜〜〜



「んなことで嫉妬すんな」


「だって！！あんな可愛く笑わなくてもいいだろうが！！」



照れ照れの顔が…



「ハンパないくらい惚れてんだな」


「太輔の好きの方が断然上だな」



玉とみつが嫌味なことを言ってるのを無視。


窓の端からAを見つめた。



…



可愛い… やっぱり可愛い 俺のA。



そう言えば… 昔もこんな風だったな、俺…



大学の時も いつも遠くから彼女を見つめてた。



側に行きたいのに行けなかった。



あの頃の切なかった想いをきゅんと感じた。



「ガヤ、どうする？入る？」



玉が聞いてきた。



「ううん、いい… 楽しんでるのを邪魔したら悪いから」


「そうだよな、AにはAの付き合いがあるもんな」



うん…



俺が邪魔していい領域ではない。



でも… 独り占めしたいと心のどこかでは思ってる自分がいる。



ちっせいな… 俺。



「ふぅ… じゃあ… 帰ろっ… 」


「あーーーーーーーーーー！！」



へ？




「藤ヶ谷さんだーーーー！！」



！！！！！！！！！



「Aさ〜ん！！藤ヶ谷さんがいますよーー！！」


「え？誰？あの子？？？」



天野さん！！！！！！！



ガチャ、ガラガラガラ…



「誰々！？」


「誰だって！？」



嘘っ！！！



数名の男女が窓を全開にした。




「こんばんにゃ〜！藤ヶ谷さ〜ん！！」


「「こんばんにゃ〜！！」」



完全に酔っ払い集団化してる…



「うへぇ、イケメンばっかじゃん！！」



はっ！！



コイツは！！



「藤ヶ谷君！！」



あ… A…



「何してるの！？」


「玉ちゃんもみっくんまで！何で！？」



何でって…



「太輔が飲もうって言うからさ」


「そうそう、たまたま来たらお前がいただけ。何？忘年会？」



玉たちが白々しく言った。


俺をジッと見つめるA。



バレてる… わざと来たこと。



「悪かったよ、別の所行くし… 」



ふんだ…



「いいんじゃないっすか？」



え？



「どうせ たくさん席空いてるんだし、お勘定別なら問題ないでしょう？」


「そんなこと言ったって… ニカちゃん、皆に散々言われたのに… 」



また 真っ赤な顔になり二階堂を見つめた。




ムカつく…




もーー！！見つめ合うんじゃない！！




「飲む！！」


「えええええ！？」




俺は、ムキになり店内に入って行った。

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