遠回りの恋

恋・28 ページ28

ストーカーで訴える…




そんな…




私…




…




「おー い… 」



「おーい、高野？」



え？




！！！！



「藤… 」


「変な客に絡まれてたって？天野さんがブゥブゥ言ってたけど」



変な客…



「大丈夫か？」



優しい手が私を撫でた…



「うわっ！どうした！？」



え？



「泣くほど嫌な客だったのか！？」



あ…



涙が…



「よしよし、大丈夫だから、な？」



何で…




…




苦しくなるよ…




…




「待ってるから もう少し頑張って来い」



もう一度頭を撫でると藤ヶ谷君は笑顔でお店を出て行った。



４０分後…



「お疲れ様でしたー！」



終礼が終わり、全員が退店。



「あ！Aさん！藤ヶ谷さんがいます！」



天野さんが指さす方向に１台の白のワンボックスカーがハザードを付け停車していた。



私に気付くと出てきた藤ヶ谷君。



「お疲れ！さて、帰るか！」




…





…




「今日は… 帰って」


「え？」



…



「お母さん、心配させないで」


「… ？母さんって… 何？」



離れた方がいい…



「ううん、うちに入り浸ってばかりだから お母さん心配してるんじゃないかな〜？って… 思っただけ」


「私も今日は実家に帰るつもりだったんだ、だから藤ヶ谷君も帰った方がいいかな〜？って」



一緒にいちゃいけない…



「俺は お前といたいんだけど」


「ダメ、たまにはお母さん孝行して」



お母さんを…



「ちぇ… わかったよ、今日は帰る」


「うん、偉い偉い」



大切にしてね…



「じゃあ、家まで送って… 」


「いい、でも 駅までお願い」



『 え〜… 』って顔の藤ヶ谷君。



本当に可愛いなぁ…



好きだなって思う。



…



でも、もうダメ。



好きになっちゃ… ダメ。



「じゃあ、ありがと」


「ん、明日な」



明日はないよ…



「サヨナラ… 藤ヶ谷君」



「ん？なんだ？そのサヨナラって？」



笑いながら手を振った。



藤ヶ谷君も可愛く手を振ると車を発進させた。



駅のロータリーから白のワンボックスが消えた。



その後、マンションに帰り 荷物をまとめた。



「夜逃げみたい… 」



タクシーを呼び、実家に帰った。



翌日、会社に仮病を使い１週間ほどの休みをもらった。




藤ヶ谷君にLINE。




『 あなたとはお付き合いできません 』… と。




そして、すぐに退出。




全部 消した…




玉ちゃんとみっくんのも。

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