遠回りの恋

恋・27 ページ27

あの無言で帰った日から 数週間経った。



相変わらず 藤ヶ谷君は我が家に居座っていた。



でも、前ほどグイグイくる感じなく普通な感じ。



その普通ってのが かなりの苦痛で…



ちょっとしたことで 好きが大きくなりそうになっていた。



…



「どう言ったら わかってくれるのかな… 」


「Aさーーん！！」



ん？



「ものすごく綺麗な人が訪ねていらっしゃってます！！」



綺麗な人？



誰？



閉店間際の為、ほとんどお客様のいない店内だから すぐにその人が誰だかわかった。



「利香ちゃん… 」


「… 相変わらず… ダサッ」



あ…



「どこがいいのかしら… こんな男女」



…



「ちょっと！あなた何様なの！？なんで Aさんのこと悪く言うの！？」


「天野さん、いいから… 私の代わりに閉店準備して」



切れかかっている天野さんを静止、閉店準備へ向かわせた。



「利香ちゃん、何しに… 」


「来た理由くらい わかってるんでしょう？」




…




… わかる。




藤ヶ谷君のこと… だよね？




「アンタのところにいるんでしょう？」




ドキッ…




知ってるんだ…



「おかしいと思ったのよね、この前 太輔のマンション近くで会うから」


「まさか、目の前のマンションにわざわざ越してくるなんて ストーカー？」



！？



「違う！！私は！！」


「どうでもいいけど、昔から目障りなのよね、アンタ」




目障り…




ズキッ…




『 ちょろちょろとウザイ女よね〜 あれわざと？ 』




甲高い笑い声が…




『 太輔もパシリで横に置いてるんじゃないの？ 』




やめて…




『 太輔が相手しないのって 可哀相〜！きゃははは！！ 』




笑わないで…



そんなつもりないの…




「まぁ、いいわ、どんな手を使ったか知らないけど、返してくれる？太輔」


「アンタみたいなストーカー女の所なんかにいさせられない」



ストーカー… 女…



違う… のに…



「太輔のお母さんだって心配してるんだからね、マンションに帰って来てないって」




え…




「返さないんだったら 太輔のお母さんに言って訴えてもらうから」




！！！！！！




「いい？私、本気だからね」



「それが嫌なら 太輔を返して！！」




利香ちゃんは、吐いて捨てるように言い放ち 私の前からいなくなった。

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