遠回りの恋

恋・23 ページ23

PiPiPiPi… PiPiPi…




ガンガンガン…




痛い…




頭がガンガンする…




目覚まし時計もうるさい…




PiPi… バシッ。



「う〜… 水ぅ〜… 」



ゆっくり起き上がり周りを見た…



…



「あれ？私… ？」



…



「昨日？えっと… ？？」



確か… 皆と飲んだよね？


なのに… 誰もいない？



「あ… 」



LINE…



『 飲み過ぎ、バーカ 』



玉ちゃん…



『 遅刻すんなよ！ 』



みっくん…



…



最後は…




『 今日は 鍋 』



…



「… 昨日、言ったこと全然理解してない… バカ… 」



本当にどうすればいいのかな…



わからないよ… もう…



利香ちゃんたちの笑い声が聴こえる…



睨む瞳も…



「無理だよ… 」




このトラウマは自分で考えるより大きいんだもん…




…





…





９時帰宅。



パタン。



「おかえり〜♪」



…



「… ただいま」



あれ？私に作れってことじゃないの？


テーブルにはすっかりセッティングされた具材。


藤ヶ谷君がカセットコンロに火を付けた。



「… 作ってくれたの？」


「ああ、コラーゲン豆乳鍋プラス柚子入り！お肌にも良いし、リラックス効果抜群だから」



コラーゲンに柚子って…



「藤ヶ谷君って… やっぱり女子だよね」



コートを脱ぎながら寝室へ。



「え？どこが？」


「コラーゲンと柚子ってところが」



扉を閉め、部屋着に着替える。


もう 言い合いするのが面倒くさいから 好きなようにやらせることにした。


否定や拒否をすればするほど、藤ヶ谷君はムキになる。


そんなタイプだということを思い出したからだ。



「お疲れ〜♪」


「うん、お疲れ様… 」



缶ビールをカチン☆



小さな一人用鍋を２人でつつく。



「で？その後、二日酔いは？」


「… 平気」



ご満悦の藤ヶ谷君。



好きな… 笑顔…



ダメ、切り替えなくちゃ…



「そっちこそ、利香ちゃんは？」


「は？まだ聴くの？それ… 」



ぶっすりと可愛く下唇が出る。



「だって 利香ちゃん健気じゃん」


「健気って… 俺の方が健気だわ！」



俺の方がって…



図々しいの間違いじゃない？




…



「あ〜、食った食った」


「お腹いっぱい… 」



本当にお腹いっぱい…



美味しかったし。



「ねぇ、泊まって い？」


「ダメに決まってるでしょう」




また下唇が出る。




もう… あまりドキドキさせないでほしいのに…

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