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episode5【side.Tamamori】 ページ5

いつも、ずっと、そうだった。





おんなじような台詞、選択して。





面白くもないのに、ヘラヘラと笑って。






「どうでもいい」





そんな顔を隠して、ぽっかり空いた心の穴に気づかないふりをして。





「やっぱり、君が一番だよ。」





また甘い台詞を、女の子の耳元で囁く。





あとで泣いたって、怒ったって、そんなの自業自得。





「自分から股を開いたくせに」って、嘲笑うんだ。





そんな俺を、みんなは「腐ってる」って言う。





メンバーも、社長も、呆れ果てるほど。





だから「面倒な奴」の相手をこれ以上したくなくて、今まで何人も俺専属のカウンセラーを雇わせてきた。





でも、どうせすぐに尻尾巻いて、逃げ帰ることになるんだ。





そんなの俺には「無意味」なのにさ、みんなには分からないみたい。





ふふっ、面白いでしょ?





カウンセラーが男だったら、俺に怒鳴って世間一般論を述べるだけ。





女だったら、甘い台詞を囁くだけ。





「せんせいって可哀想だね。」





「ほんとうは、たまってるくせに。」





「俺に、抱かれてみる?」





カウンセラーって言ったって、所詮は女。





俺に抱かれて、それであとで後悔して、怒って。





「最低最悪」





そうやって言うんだ。





おかしな話でしょ?





自分から股を開いたくせに、ね?





だから、これからもずっと変わらないって思っていた。





「どうせまた」





期待なんて、これっぽっちもしていなかった。





だけど…。





あ「君に、幸せな未来を手渡すから。」





あ「辛いね…辛かったね…玉森くん…。」





彼女は、他の人とは違うかもしれない。





彼女を見て、彼女の話を聞いて、そう思った。





なんで、どうして、俺なんかのために涙が流せるのか。





俺には、分からなかった。





あ「いつか、信じさせてみせるから。」





でも、感じた。





あ「ふふっ、ありがとう。」





ぽっかり空いた心の穴を、彼女なら満たしてくれるんじゃないかって。





彼女なら、俺が本当に一番欲しいものをくれるんじゃないかって。





た「せんせいのこと、少し期待しておくよ?」





俺の心が、揺れた。

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cyupa222(プロフ) - デビルズラインすきなんですか。? (2019年5月14日 10時) (レス) id: da0b847156 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サクサクコロッケ | 作成日時:2018年11月8日 19時

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