▶マッドスマイル (ページ34)

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笑顔が33こページ34

『この前さ、ずっと笑顔なんは可笑しいって言われてん。人に笑顔も強要するなって……そんなつもりはなかってんけど。これって可笑しいん？』

gr「価値観は人それぞれやからな。そいつには可笑しく見えたんだろう。だが、俺は笑顔のAが好きだゾ？笑顔を求めることがAの笑顔に繋がるのであれば、周りを笑顔にすることは当然のことだろう。可笑しくはない」

堂々と答えるグルッペンにAの顔がぱぁと明るくなる。

『グルッペンが言ってくれるなら、間違いないわ！ありがとう』

時が過ぎ14歳。小学校の最終学年の時にAに弟が誕生したため、より一層Aへの当たりが強くなってきた頃だった。
服の下は隠し切れない程の傷や痣。しかしAは気にすることなく、学校にも変わらず笑顔で登校していた。
ある時顔に大きな痣を作って登校してきたことがあった。その時にとうとうグルッペンは堪え切れず、Aを屋上へと連れて行く。

gr「またアイツらにやられたんやな」

『そうやで……ってグルッペン顔怖いで？なんでそんなに怒ってるん？』

鬼のような形相のグルッペンに対し、Aはへらりと笑う。

gr「もう我慢の限界や。あの家から出るぞ」

その言葉にAは目を丸くする。

『出るって言っても、行く当てないしなぁ……』

gr「大丈夫や、最近信頼できる奴と知り合ってな。トントンって言うんやけどな、そいつん所は一般家庭やし、親も優しい人やから話せばわかってくれる」

Aの肩に両手を乗せて、説得するグルッペン。

『グルッペンがそう言うなら安心やな。それよりも、そうすることでグルッペンは笑顔になれるん？』

ニコニコと尋ねてくるAに、グルッペンは溜息をつく。

gr「俺よりも、まずは自分のことを優先しろ……」

『でも、私の幸せはグルッペンが笑顔で過ごすことやからなぁ。グルッペンが笑顔になるならトントンのところにいくで』

その言葉にグルッペンは一瞬驚く表情をするが、愛おしそうな表情でAを見つめる。

gr「そうか。だったらトントンのところに行ってもらうか。アイツらにはこれ以上Aのことを好き勝手させる訳にはいかんからな」

そっかそっかと、他人事のようにAは返事をする。

gr「あとトントンの所に行ったらこの学校には来るなよ？アイツらに捕まるだろうからな。その代わりに、好きなところを言ってくれれば金は用意するゾ。だから考えておくようにな」