▶マッドスマイル (ページ33)

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笑顔が32こページ33

gr「俺はな、よく顔が整っていると言われてな、大人も子どもも外側だけを見て寄ってくるんだ。親ですら俺の中身なんて見てくれない。そんなとき、必死にお前が語りかけてくれてな。変顔も全力でやるし……。俺の内側を初めて見てくれた。ありがとう」

その言葉にAは顔をあげ、グルッペンと視線を合わせる。グルッペンは泣きそうな顔をしていた。

gr「なぁ、俺の夢を聞いてくれないか。まだ誰にも言ってない秘密の夢」

Aはコクっと首を縦に振る。
グルッペンは内心ドキドキしていた。笑われたらどうしよう。しかしAには打ち明けたいと言う思いの方が強かったため、ゆっくりと口を開き言葉を紡ぐ。

gr「俺はな。大きくなったら国を作ることが夢なんだ。一から信頼できる仲間と共に最高の国を作りたい……可笑しいか？」

そう言うグルッペンは相変わらず泣きそうな顔で話す。Aは真剣な表情で話を聞くと、グルッペンの頬を両手で優しく包む。

『そんなことない。素敵な夢や。グルッペンならできるよ、やから自信を持ったらいい』

その目には真剣であり、グルッペンは思わず笑みが溢れる。

gr「そんなに断言されたら叶えるしかないやん。ちなみに信頼できる仲間の第一号はA、お前やからな」

その言葉でまた二人クスクスと笑い合う。
これがグルッペンとAの出会いだった。

その後グルッペンとAはできる限り一緒にいた。学校の時も、家に帰った後の自由時間も、パーティーの時も。そこでAは笑顔の素敵さに魅入られていった。
家では相変わらず作り笑いであったが、グルッペンといる時は本心から笑うことができた。少し経つと学校でも笑顔でいることができるようになった。すると以前までは過ごしづらかった学校生活が、生徒、教員共に自分に対するあたりが柔らかくなっていった。自分が笑顔だと相手も笑顔になる。そのことを体験したAは、笑顔がとても素敵に思えた。
それからAは笑顔に固執するようになっていった。グルッペンもそれに気づいてはいたが、Aが笑顔でいれるのであればそれでいいと思っていた。
ある時、Aが不安そうにグルッペンに相談してきたことがある。

『この前さ、ずっと笑顔なんは可笑しいって言われてん。人に笑顔も強要するなって……そんなつもりはなかってんけど。これって可笑しいん？』